英文名 | Medical Biochemistry&Nutrition | |
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科目概要 | 2年前期[24コマ]、3群科目、必修、講義 | |
科目責任者 | 堺 隆一 | |
担当者 | 堺 隆一※, 板倉 誠※, 清成 信一※, 堤 良平※ | |
教室 | M103(新校舎1階大講義室) |
堺 隆一ほか:
臨床経験をふまえ癌、糖尿病、内分泌疾患などの病態について概説する。
1. プロフェッショナリズムと倫理: | 4. 知的探究と自律的学習: | 7. 予防医学: |
2. コミュニケーション能力: | 5. チーム医療: | 8. 地域医療: |
3. 医学的知識と技術: ◎ | 6. 医療の質と安全: | 9. 国際貢献: |
ヒトの生体機能を理解するためには、外界の変化を様々な細胞にどのようにして伝え、細胞内代謝を的確に変化させているかを理解しなければならない。またヒトの健康を考える上で、どのような物質をどのような仕組みで栄養素として体内に取り入れ、身体活動や臓器機能の維持に利用しているか理解することは重要である。その一方で種々の病的な状態をこの外界からの情報伝達系の破綻として捉え、それに関わる分子を知ることは病気の予防や治療という観点からも重要である。このようなことから本科目では、体内で起るダイナミックな生体制御機構とその異常について理解してもらうとともに、栄養という観点から細胞内代謝を見つめなおすことを教育目標とする。1年生での「細胞生物学」「タンパク質化学」「代謝学」の講義内容を縦糸とした場合、本科目で取り上げる内容は横糸として密接に絡み合っており、3年生で学ぶ器官系別総合講義につなぐ役割も持っている。
⑴ 細胞外からの刺激を受け取る細胞内情報伝達系の多様性を生化学的な観点から講義する。
⑵ 細胞の増殖・運動の調節機構とその破綻としてのがんの発生の分子メカニズムについて講義する。
⑶ 糖代謝や細胞に対するストレスに関わる分子群について説明する。
⑷ 血液に含まれるタンパク質やホメオスタシスと疾患の関わりを講義する。
⑸ ホルモンや神経伝達物質の役割について生化学的側面から講義する。
⑹ 栄養素および消化・吸収、エネルギー代謝について生化学的な観点から講義する。
教科書以外にプリントを配布し、これに従って講義を進める。担当教員ごとに最後の回に演習問題により知識の確認を行ない、終了後に解答例を配布する。
回 | 日時 | 講義テーマ | 講義内容 | 担当者 | 所属 |
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1 | 4/16(水)① | 医化学栄養学総説 | 総説・細胞膜の構造と機能 | 堺 隆一 | 生化学(堺単位) |
2 | 4/17(木)② | 受容体とリガンド | 受容体の種類と活性化機構 | 堺 隆一 | 生化学(堺単位) |
3 | 4/22(火)② | タンパク質のリン酸化 | リン酸化によるタンパク質の制御 | 堺 隆一 | 生化学(堺単位) |
4 | 4/23(水)① | 細胞内シグナル伝達 | 細胞内シグナル伝達のメカニズム | 堺 隆一 | 生化学(堺単位) |
5 | 4/24(木)② | 細胞の増殖と運動 | 細胞周期や細胞運動に関わる分子 | 堺 隆一 | 生化学(堺単位) |
6 | 5/7(水)① | がんの発生と転移 | がん発生や転移に関わるタンパク質群 | 堺 隆一 | 生化学(堺単位) |
7 | 5/8(木)② | 演習⑴ | 講義内容の問題演習と解説 | 堺 隆一 | 生化学(堺単位) |
8 | 5/13(火)② | 膜輸送 | 細胞膜を介した物質輸送・小胞輸送 | 堤 良平 | 生化学(堺単位) |
9 | 5/14(水)① | 糖代謝と炎症 | 糖代謝や炎症に関わる分子群 | 堤 良平 | 生化学(堺単位) |
10 | 5/15(木)② | 細胞のストレス | 小胞体ストレスや酸化ストレス | 清成 信一 | 生化学(堺単位) |
11 | 5/20(火)② | 血液と血漿タンパク質 | 血漿タンパク質の性質と機能 | 清成 信一 | 生化学(堺単位) |
12 | 5/21(水)① | ヘモグロビンと血液凝固系 | 酸素運搬と血液凝固に関わる分子 | 清成 信一 | 生化学(堺単位) |
13 | 5/22(木)② | 血液の酸塩基平衡 | アシドーシスとアルカローシス | 清成 信一 | 生化学(堺単位) |
14 | 5/27(火)② | 演習⑵ | 講義内容の問題演習と解説 | 清成 信一 堤 良平 | 生化学(堺単位) |
15 | 5/28(水)① | ホルモン⑴ | ホルモンの分類と機能 | 板倉 誠 | 生化学(堺単位) |
16 | 5/29(木)② | ホルモン⑵ | ホルモン各論とその異常症 | 板倉 誠 | 生化学(堺単位) |
17 | 6/3(火)② | 神経機能と疾患 | 神経伝達の機構と神経疾患 | 板倉 誠 | 生化学(堺単位) |
18 | 6/4(水)① | ストレス受容 | 精神的ストレスの受容機構とその破綻 | 板倉 誠 | 生化学(堺単位) |
19 | 6/10(火)② | 消化吸収 | 糖質・脂質・タンパク質の消化吸収 | 板倉 誠 | 生化学(堺単位) |
20 | 6/11(水)① | 体液循環の調節機構 | 血液・尿の成分,心臓・血管・腎臓機能の制御 | 板倉 誠 | 生化学(堺単位) |
21 | 6/17(火)② | ビタミン⑴ | 脂溶性ビタミンと無機質 | 板倉 誠 | 生化学(堺単位) |
22 | 6/18(水)① | ビタミン⑵ | 水溶性ビタミン、過剰症と欠乏症 | 板倉 誠 | 生化学(堺単位) |
23 | 6/24(火)② | 筋骨格系とエネルギー代謝 | 筋肉の構造とエネルギー代謝 | 板倉 誠 | 生化学(堺単位) |
24 | 6/25(水)① | 演習⑶ | 講義内容の問題演習と解説 | 板倉 誠 | 生化学(堺単位) |
予習:教科書の対応するページをあらかじめ読んでおくこと。
復習:プリントを見返し、分からない点を明らかにして質問する。
予習・復習あわせて1コマあたり2時間の準備学習を要する。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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参考書 | 重要参考図書 エッセンシャル生化学 | Pratt, Cornely 著(須藤、山本、堅田、渡辺 訳) | 東京化学同人 |
参考書 | 重要参考図書 エッセンシャル細胞生物学 | (中村桂子,松原謙一 訳) | 南江堂 |
参考書 | 参考図書 イラストレイテッドハーパー・生化学(原著30版) | Murray, Granner, Rodwell 著 上代 監訳 | 丸善 |
参考書 | 参考図書 イラストレイテッド生化学(原著8版) | Champe, Harvey, Ferrier 著(石崎、丸山 監訳) | 丸善 |
細胞膜の受容体の機能やリガンドについて説明できる。
増殖・運動に関わるタンパク質群やエネルギー代謝とその異常について説明できる。
細胞間および細胞内シグナル伝達系の仕組みとがんなどの疾患との関わりを説明できる。
膜輸送や小胞輸送について説明できる。
細胞に対する種々のストレス反応に関わる分子群について説明できる。
血糖値の調節や局所の炎症に関わる分子群について説明できる。
血液のタンパク質やホメオスタシスと疾患の関わりを説明できる。
ホルモンや神経系の制御に関わる分子とその異常について説明できる。
消化吸収や血糖値のコントロールとその異常に関わる疾患について説明できる。
栄養素について理解するとともに、健康時、異常時の生体制御機構を説明できる。
講義や演習への取り組み方(20%)と試験(80%)の総合評価とする。
本科目の学習内容は「細胞生物学」「タンパク質化学」「代謝学」の学習内容と密接に関連している。1年生での学習内容をしっかりと復習しておくとともに、これらの科目の学習内容との関連をしっかりと捉え、統合的に理解するよう心がけること。
毎時間配布する「プリント」には「確認問題」などの形で要点のまとめが含まれるので、きちんと綴じて保存することを奨める。解答は特に配布しないが、講義ノートや配布されたプリントを見れば答えられるような問題であるので、復習の際に活用してほしい。
講義内容を理解する上で、実際に自分自身で問題を解いてみることは非常に有益である。「演習」はこの様な考えに基づいて設けられたもので試験ではない。「演習問題」を解くにあたっては、教科書、参考書、プリントなどを持参し、それらを参考にして必ず自分自身の力で解答すること。
「確認問題」や「演習問題」は試験に向けて習得すべきポイントであるが、必ずしもそのままの形で定期試験に出題されるわけではない。分からない場合には、生化学の教員(新M号館5階)に質問し疑問点を残さないようにすること。