英文名 | Microbiology(lab.) | |
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科目概要 | 2年後期[38コマ]、3群科目、必修、実習 | |
科目責任者 | 林 俊治 | |
担当者 | 林 俊治※, 下村 裕史※, 武 晃, 片山 和彦※, 北里 英郎※, 久保田 孝一, 中村 正樹※, 葛城 建史※ | |
教室 | M103(新校舎1階大講義室), M21(新校舎2階感染系実習室) |
林 俊治:臨床経験および研究所等における業務を踏まえ、感染症診療に必要な微生物学の知識を解説する。
下村 裕史:獣医臨床および研究所等における業務を踏まえ、感染症診療に必要な微生物学の知識を解説する。
片山 和彦:研究所等における業務を踏まえ、感染症診療に必要な微生物学の知識を解説する。
北里 英郎:研究所等における業務を踏まえ、感染症診療に必要な微生物学の知識を解説する。
中村 正樹:臨床経験および研究所等における業務を踏まえ、感染症診療に必要な微生物学の知識を解説する。
葛城 建史:臨床経験および研究所等における業務を踏まえ、感染症診療に必要な微生物学の知識を解説する。
1. プロフェッショナリズムと倫理: | 4. 知的探究と自律的学習: ◯ | 7. 予防医学: ◎ |
2. コミュニケーション能力: | 5. チーム医療: | 8. 地域医療: ◎ |
3. 医学的知識と技術: ◎ | 6. 医療の質と安全: | 9. 国際貢献: ◯ |
微生物学総論・実習では、臨床医学の学習を始める前に、感染症の原因となる微生物について学び、将来の感染症診療に必要な知識を習得することが求められる。具体的には、感染症を起こす病原微生物(細菌、真菌、ウイルス)の生物学的特徴を理解し、どの病原微生物がどの感染症の原因になるかを説明できることが求められる。さらに、それぞれの微生物がどのようなメカニズムで感染症を起こすのか、感染症を診断するための方法論、化学療法を中心とした感染症の治療法、感染症の予防戦略を説明できることが求められる。
感染症を起こす病原微生物は細菌、ウイルス、真菌に大別され、それぞれに特徴がある。したがって、病原微生物と感染症の関連を学ぶために、内容を以下の5つに分けて講義する。
⑴ 細菌学総論:細菌とはどのような生物で、どのようなメカニズムで感染症を起こすのかを講義する。さらに、細菌感染症の診断法・治療法・予防法の基本を講義する。
⑵ 細菌学各論:各病原細菌の特徴について解説し、それらがどのような感染症を起こすのかを講義する。
⑶ ウイルス学総論:ウイルスとはどのような生物で、どのようなメカニズムで感染症を起こすのかを講義する。さらに、ウイルス感染症の診断法・治療法・予防法の基本を講義する。
⑷ ウイルス学各論:各病原ウイルスの特徴について解説し、それらがどのような感染症を起こすのかを講義する。
⑸ 真菌学:真菌とはどのような生物で、どのようなメカニズムで感染症を起こすのかを解説し、真菌感染症の診療の基本を講義する。各病原真菌の特徴について解説し、それらがどのような感染症を起こすのかを講義する。
講義と実習によって微生物学の教育を行う。講義に際しては「講義プリント」を配布し、これと教科書にしたがって講義を進める。各講義の終了後に学生からの質問を受け付け、それに対する回答をフィードバックする。特定の学生からの質問であっても、その質問に対する回答は全ての学生に公開する。
実習に際しては「実習テキスト」を配布し、これにしたがって実習を進める。実習で行った実験の結果などは「実習テキスト」に記載する。実習内容を記載した「実習テキスト」を実習レポートとして提出する。このレポートは教員が優れた点や不備な点を指摘したうえで評価し返却することでフィードバックを行う。
講義と実習の内容の全てが試験の出題範囲となる。試験問題およびその正解・解説は公開する。そのうえで、試験問題に対する異議申し立てを受け付ける。その異議申し立ての内容によっては、試験問題のさらに詳しい解説などを行う。
回 | 日時 | 講義テーマ | 講義内容 | 担当者 | 所属 |
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1 | 8/18(月)③ | 微生物学概論 | 感染症と微生物 | 林 俊治 | 微生物学 |
2 | 8/18(月)④ | 細菌学総論⑴ | 細菌の形態・増殖・代謝 | 林 俊治 | 微生物学 |
3 | 8/19(火)③ | 細菌学総論⑵ | 細菌の遺伝 | 下村 裕史 | 微生物学 |
4 | 8/19(火)④ | 細菌学総論⑶ | 細菌の病原因子 | 下村 裕史 | 微生物学 |
5 | 9/3(水)① | 臨床微生物学⑴ | 感染症の治療 | 林 俊治 | 微生物学 |
6 | 9/3(水)② | 臨床微生物学⑵ | 感染症の予防 | 林 俊治 | 微生物学 |
7 | 9/5(金)① | 臨床微生物学⑶ | 滅菌と消毒 | 林 俊治 | 微生物学 |
8 | 9/5(金)② | 臨床微生物学⑷ | 感染症の診断 | 中村 正樹 | 臨床検査診断学 |
9 | 9/8(月)③ | 球菌⑴ | ブドウ球菌 | 林 俊治 | 微生物学 |
10 | 9/8(月)④ | 球菌⑵ | レンサ球菌、ナイセリア | 林 俊治 | 微生物学 |
11 | 9/9(火)③ | グラム陰性桿菌⑴ | 腸内細菌科 | 武 晃 | 微生物学 |
12 | 9/9(火)④ | グラム陰性桿菌⑵ | 腸内細菌科、パスツレラ科 | 武 晃 | 微生物学 |
13 | 9/11(木)① | グラム陰性桿菌⑶ | ビブリオ科、らせん菌群 | 武 晃 | 微生物学 |
14 | 9/11(木)② | グラム陰性桿菌⑷ | ブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌 | 武 晃 | 微生物学 |
15 | 9/12(金)③ | ウイルス学総論⑴ | ウイルスとは何か | 久保田 孝一 | 非常勤教員 |
16 | 9/12(金)④ | グラム陽性桿菌 | 抗酸菌、バシラス、リステリア | 下村 裕史 | 微生物学 |
17 | 9/17(水)① | ウイルス学総論⑵ | ウイルス感染症の臨床 | 林 俊治 | 微生物学 |
18 | 9/17(水)② | RNAウイルス⑴ | エンベロープ(+)RNA ウイルス | 久保田 孝一 | 非常勤教員 |
19 | 9/18(木)① | 特殊な細菌⑴ | 嫌気性菌 | 林 俊治 | 微生物学 |
20 | 9/18(木)② | RNAウイルス⑵ | エンベロープ(+)RNA ウイルス | 久保田 孝一 | 非常勤教員 |
21 | 9/22(月)③ | DNAウイルス⑴ | エンベロープ(+)DNA ウイルス | 久保田 孝一 | 非常勤教員 |
22 | 9/22(月)④ | 特殊な細菌⑵ | スピロヘータ、マイコプラズマ | 林 俊治 | 微生物学 |
23 | 10/3(金)① | 特殊なウイルス(1) | 肝炎ウイルス、レトロウイルス | 北里 英郎 | 非常勤教員 |
24 | 10/3(金)② | 特殊なウイルス(2) | スローウイルス、プリオン | 北里 英郎 | 非常勤教員 |
25 | 10/9(木)① | DNAウイルス⑵ | エンベロープ(−)DNA ウイルス | 片山 和彦 | 大村智記念研究所,生命研 |
26 | 10/9(木)② | RNAウイルス⑶ | エンベロープ(−)RNA ウイルス | 片山 和彦 | 大村智記念研究所,生命研 |
27 | 10/16(木)③ | 実習⑴ 【M21】 | 環境菌と常在菌(実験) | 林 俊治 武 晃 下村 裕史 葛城 建史 | 微生物学 看護学部 |
28 | 10/16(木)④ | 実習⑵ 【M21】 | グラム陽性菌の性状(実験) | 林 俊治 武 晃 下村 裕史 葛城 建史 | 微生物学 看護学部 |
29 | 10/17(金)③ | 実習⑶ 【M21】 | 環境菌と常在菌(観察) | 林 俊治 武 晃 下村 裕史 葛城 建史 | 微生物学 看護学部 |
30 | 10/17(金)④ | 実習⑷ 【M21】 | グラム陽性菌の性状(観察) | 林 俊治 武 晃 下村 裕史 葛城 建史 | 微生物学 看護学部 |
31 | 10/20(月)③ | 実習⑸ 【M21】 | 薬剤感受性試験(実験) | 林 俊治 武 晃 下村 裕史 葛城 建史 | 微生物学 看護学部 |
32 | 10/20(月)④ | 実習(6) 【M21】 | グラム陰性菌の同定(実験) | 林 俊治 武 晃 下村 裕史 葛城 建史 | 微生物学 看護学部 |
33 | 10/21(火)③ | 実習(7) 【M21】 | 薬剤感受性試験(観察) | 林 俊治 武 晃 下村 裕史 葛城 建史 | 微生物学 看護学部 |
34 | 10/21(火)④ | 実習(8) 【M21】 | グラム陰性菌の同定(観察) | 林 俊治 武 晃 下村 裕史 葛城 建史 | 微生物学 看護学部 |
35 | 10/23(木)① | 特殊な細菌⑶ | リケッチア、クラミジア | 林 俊治 | 微生物学 |
36 | 10/23(木)② | 真菌学 | 真菌学総論・各論 | 下村 裕史 | 微生物学 |
37 | 10/30(木)① | 特殊な細菌⑷ | その他の細菌、分類不詳微生物 | 林 俊治 | 微生物学 |
38 | 10/30(木)② | 臨床微生物学⑸ | 新興・再興感染症 | 林 俊治 | 微生物学 |
予習:講義に向けて予習を行う必要はない。しかし、講義の前日にシラバスを確認し、翌日の講義のテーマが何であるかを把握しておくこと。普段から感染症に関する新書などに目を通し、関連知識を集めておくこと。さらに、感染症に関するニュースにも留意し、最新知識の入手に努めることをお勧めする。
復習:講義内容は講義中に理解するのが基本である。講義で出てきた用語などのまとめは講義を行った週のうちに行う。1コマの講義当たり2時間30分の復習を行うことが望ましい。復習によって知識を確かなものにしておくと、試験直前に慌てないで済む。
実習:実習の前日に「実習テキスト」に目を通し、翌日行う予定の実験の概要を把握しておくこと。実習レポートは実験を行った日のうちに作成すること。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | シンプル微生物学 第6版 3,200円+税 その名の通りシンプルで安価な教科書である。微生物学の専門家の中では記述が足りないとの批判もあるが、医学生にとって必要な内容は十分に記載されている。最もコストパフォーマンスの良い教科書と言える。 | 東匡伸・小熊惠二・堀田博 編集 | 南江堂 |
参考書 | 標準微生物学 第14版 7,700円+税 その名の通り標準的な教科書である。医学生にとって必要な内容はきちんと記載されているのだが、重要な点の強調が弱く、メリハリがない。 | 神谷茂 監修 | 医学書院 |
参考書 | 戸田新細菌学 第34版 16,000円+税 最も伝統があり、最も高価で、最も重たい教科書である。医学生にとって不必要な内容もかなり記載されており、各章の内容にも統一性がない。高価な教科書を持っていることを自慢したい人は購入してもよい。 | 吉田眞一・柳雄介・吉開泰信 編集 | 南山堂 |
参考書 | コンパクト微生物学 第5版 2,300円+税 看護学生用に書かれた教科書であり、微生物そのものについての記述は不十分である。しかし、臨床の現場で役立つ実践的な内容が詳しく記述されている。 | 小熊惠二・堀田博 監修、林俊治・石戸聡 編集 | 南江堂 |
参考書 | 微生物学250ポイント 第7版 3,400円+税 まとまった教科書ではない。試験に出そうなポイントだけが羅列されている。普段の学習用には全くお薦めできない本だが、試験対策本としては使える。 | 今西二郎 著 | 金芳堂 |
参考書 | Medical Microbiology 第28版 23,400+税 アメリカの医学生の多くが使っている教科書である。内容もコンパクトにまとまっており、英語も読みやすい。 | Carroll KC 編集 | LANGE |
参考書 | その他の参考図書 微生物や感染症に関する新書や文庫がたくさん出版されている。普段からこのような本を読むことをお勧めする。新聞やテレビで感染症に関するニュースが報道された場合は、それを必ず見てもらいたい。また、北里柴三郎先生の伝記もたくさん出版されているが、このうちの一冊ぐらいは読むべきである。コミック版の伝記もある。 |
1)北里研究所創立100周年・北里大学創立50周年記念事業のひとつとして作成されたDVD『近代医学の父 北里柴三郎~雷が私たちに託したもの~』は、必ず観てもらいたい。
2)Wikipediaの北里柴三郎先生のページは必ず観てもらいたい。
1)ヒトの疾患の原因となる微生物(細菌、真菌、ウイルス)の生物学的特徴を説明できる。
2)各病原微生物がどのような感染症を起こすかを説明できる。
3)各病原微生物がそのような感染経路でヒトに感染するかを説明できる。
4)各病原微生物が感染症の諸症状を起こすメカニズムを説明できる。
5)感染症を診断するための基本的な手順を理解し、それを実践できる。
6)感染症を治療するための基本的な方法を説明できる。
7)感染症を予防するための基本的な戦略を説明できる。
8)国際レベルで感染症の分布を理解し、それらに対する取り組みについて説明できる。
9)新興・再興感染症について理解し、それらに対する取り組みについて説明できる。
実習レポートの評価を20点とする。レポートの提出日は学生の意見を参考にして決める。レポート提出の遅れは1日につき1点の減点とする。レポートは手書きとする。したがって、コピペチェックは行わない。レポート作成にあたって同じ実習班の者同士が助け合うことはむしろ奨励する。レポートは採点した後に返却する。定期試験の配点は、論述問題が40点、多肢選択問題が40点である。試験問題の内容は授業の目的に記載した内容を踏まえ、上記の到達目標に対応している。多肢選択問題は共用試験のCBTを想定したものとなっており、正答率が2割以下の問題は不適当問題として全員正解とする。試験終了後、正解を公表し、試験問題の解説を行う。実習レポートの点数と試験の点数を合計すると100点満点となり、このうち60点以上を獲得した者を、上記の目標に到達したものと判断し、合格とする。
実習では生きた病原微生物を扱うことになるため、学生が実習用の微生物に感染する危険性がある。事実、他の大学ではそのような事故も起こっている。したがって、自らの体を守るためにも、実習中は教員の指導、コメントに留意すること。