英文名 | Immunology(lab.) | |
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科目概要 | 2年後期[26コマ]、3群科目、必修、実習 | |
科目責任者 | 末永 忠広 | |
担当者 | 末永 忠広※, 竹内 恵美子※, 佐藤 雅※, 今西 貴之, 玉内 秀一※, 大津 真※, 竹内 康雄※, 岩渕 和也※ | |
教室 | M103(新校舎1階大講義室), M21(新校舎2階感染系実習室) |
臨床・実務経験を踏まえ、免疫学を学ぶこと(端的には免疫学的知見・免疫疾患の診断治療・免疫学的検出技術など)がどのように臨床実務(臨床研究・治験も含め)に役立つかを解説する。
1. プロフェッショナリズムと倫理: ◯ | 4. 知的探究と自律的学習: ◯ | 7. 予防医学: ◯ |
2. コミュニケーション能力: ◯ | 5. チーム医療: ◯ | 8. 地域医療: |
3. 医学的知識と技術: ◎ | 6. 医療の質と安全: ◯ | 9. 国際貢献: |
免疫学総論・実習では、まず、第2学年前期までに習得した細胞生物学・解剖学・生化学・生理学を基盤に、生体防御に関わる分子、免疫担当細胞の発生、分化、分布、各細胞機能の機能と細胞間相互作用などの知識を整理し免疫応答を理解する。
その上で、感染症・自己免疫疾患・アレルギー・免疫不全症候群・腫瘍などの疾患の病態、移植における免疫学的な問題点・診断・治療を理解し、臨床への橋渡しを行う。
実習では、抗体産生細胞の検出、凝集や沈降による抗原抗体反応の観察による免疫現象の可視化を通して、免疫理論の理解を深める。
免疫学総論・実習では、免疫系を、分子・細胞・組織/器官・個体と階層を広げながら、免疫応答の全体像を理解する。
免疫系を構成する各細胞の分化過程や機能は互いにクロスオーバーしているため、明確な切り分けは困難であるが、前半は分子・細胞・組織レベルでの内容が中心となり、順次、自然免疫系から獲得免疫系の生物学を学習する。後半は、基礎的な免疫生物学の知識に基づいて、主に個体レベルの階層で、アレルギー・自己免疫疾患、免疫不全症、移植・腫瘍免疫、免疫学的検査のメカニズムと臨床への応用について講義する。
系統講義の後に行う実習では、抗体産生細胞、抗原抗体反応を実際に臨床検査で用いられていた手技も用いて、講義で学んだ免疫現象を実感する。
特別講義では、免疫学を研究とその歴史的側面から見直し、また、小テストや自習用教材を用いて知識の整理を行う。
講義内容の主要部分を電子媒体もしくは紙媒体として配布し、主にスライドを用いて講義を行う。知識整理のための小テストの実施もしくは問題プリントの電子配布を行うこともある。実習は、2名1組を基本とするグループで実験を行い、実験内容に関してのレポート作成を行う。レポートは採点の上返却する。
回 | 日時 | 講義テーマ | 講義内容 | 担当者 | 所属 |
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1 | 8/20(水)③ | 免疫学概論 | 免疫学概論 | 末永 忠広 | 免疫学 |
2 | 8/20(水)④ | 自然免疫① | 補体、抗菌・炎症性タンパク質、顆粒球 | 竹内 恵美子 | 免疫学 |
3 | 8/29(金)① | 自然免疫② | 単球、マクロファージ、樹状細胞 | 佐藤 雅 | 免疫学 |
5 | 8/29(金)② | 獲得免疫① | T 細胞受容体と抗体 | 末永 忠広 | 免疫学 |
6 | 9/1(月)① | 獲得免疫② | MHC 分子と抗原提示 | 末永 忠広 | 免疫学 |
7 | 9/1(月)② | 獲得免疫③ | T 細胞・B 細胞の活性化機構 | 今西 貴之 | 免疫学 |
8 | 9/4(木)① | 獲得免疫④ /免疫系の調節① | 正/ 負の選択、T 細胞分化、中枢性・末梢性免疫寛容 | 今西 貴之 | 免疫学 |
9 | 9/4(木)② | 免疫系の調節② | 様々なT 細胞とサイトカイン | 佐藤 雅 | 免疫学 |
4 | 9/17(水)③ | 自然免疫③/免疫系の調節③ | 自然リンパ球とサイトカイン | 佐藤 雅 | 免疫学 |
10 | 9/17(水)④ | 獲得免疫⑤ | B 細胞分化、免疫記憶 | 末永 忠広 | 免疫学 |
11 | 9/26(金)① | 感染と免疫① | 感染免疫学の基礎・細胞外寄生性病原体とワクチン | 佐藤 雅 | 免疫学 |
12 | 9/26(金)② | 感染と免疫② | 細胞傷害性 T 細胞の機能・細胞内寄生性病原体 | 今西 貴之 | 免疫学 |
13 | 10/10(金)③ | 粘膜免疫 | 粘膜領域での免疫応答と腸内細菌叢 | 佐藤 雅 | 免疫学 |
14 | 10/10(金)④ | アレルギー(過敏反応) | アレルギー疾患の成り立ちと診断の治療 | 玉内 秀一 | 非常勤教員 |
15 | 10/16(木)① | 免疫不全、自己免疫疾患① | 免疫不全と自己免疫疾患の基礎 | 竹内 恵美子 | 免疫学 |
16 | 10/16(木)② | 自己免疫疾患② | 自己免疫疾患の治療 | 末永 忠広 | 免疫学 |
17 | 10/20(月)① | 免疫と検査 | 免疫学的検査法とその原理・意義 | 竹内 恵美子 | 免疫学 |
18 | 10/20(月)② | 移植と免疫① | 造血幹細胞移植・遺伝子治療と移植免疫 | 大津 真 | 医療衛生学部 |
20 | 11/7(金)③ | 腫瘍免疫の基礎 | 免疫による腫瘍認識と治療(途中実習室に移動し実習①) | 末永 忠広 | 免疫学 |
20 | 11/7(金)③ | 実習① | 抗原の免疫 | 末永 忠広 竹内 恵美子 佐藤 雅 今西 貴之 | 免疫学 |
19 | 11/7(金)④ | 移植と免疫② | 移植医療の Up-to date 2025 | 竹内 康雄 | 腎臓内科学 |
21 | 11/11(火)③ | 実習② | 採血、血漿分離、形質細胞と血中抗体の検出(プラークアッセイ)、免疫沈降反応 | 末永 忠広 竹内 恵美子 佐藤 雅 今西 貴之 | 免疫学 |
22 | 11/11(火)④ | 実習② | 採血、血漿分離、形質細胞と血中抗体の検出(プラークアッセイ)、免疫沈降反応 | 末永 忠広 佐藤 雅 今西 貴之 竹内 恵美子 | 免疫学 |
23 | 11/13(木)③ | 実習③ | 形質細胞と血中抗体の検出(プラークアッセイ)、免疫沈降反応、赤血球凝集反応 | 末永 忠広 竹内 恵美子 佐藤 雅 今西 貴之 | 免疫学 |
24 | 11/13(木)④ | 実習③ | 形質細胞と血中抗体の検出(プラークアッセイ)、免疫沈降反応、赤血球凝集反応 | 末永 忠広 竹内 恵美子 佐藤 雅 今西 貴之 | 免疫学 |
25 | 11/14(金)③ | 《特別講義》 | 特別講義 | 岩渕 和也 | 名誉教授 |
26 | 11/14(金)④ | 実習④ | 実験結果確認・レポート完成 | 末永 忠広 竹内 恵美子 佐藤 雅 今西 貴之 | 免疫学 |
予習:授業内容の該当箇所について下に掲げる参考資料などを一読し、分かりにくい免疫学的用語(授業でもちろん説明するが、予習で馴れておくと授業での理解が早い)をピックアップしておく。なお予習に30分~ 1時間が必要である。
復習:授業後にノートやプリントに書き込んだメモを自分なりにまとめ、分からないところをより詳しい参考書等で当該箇所を読んで理解に努める。それでも分からないところは担当教員に質問する。復習に30分~ 1時間が必要である。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 基礎から学ぶ免疫学(2023) コメディカル用テキストだが、コンパクトにまとめられている。 | 山下政克 編 | 羊土堂 |
教科書 | リッピンコットシリーズ イラストレイテッド免疫学(原書3版)(2023) 多くの内容がおさめられており、知識の整理によい。 | 矢田純一・高橋秀実・藤尾圭志 著 | 丸善出版 |
教科書 | エッセンシャル免疫学(第4版)(2023) 中等度で適度な分量。 | 平野俊夫・村上正晃 著 | メディカル・サイエンス・インターナショナル |
教科書 | 分子細胞免疫学(第10版)(2023) 原書Cellular and Molecular Immunology 10th ed. (2021、Elsevier) | 中尾篤人 監訳 Abbas,Lichtman & Pillai 著 | Elsevier |
教科書 | 免疫生物学(第9版)(2019) 原著Janeway's Immunobiology 10th ed. (2022、WW Norton & Co) | 笹月健彦 監訳 Murphy, Weaver & Berg 著 | 南江堂 |
参考書 | はたらく細胞シリーズ アニメ・映画などメディアミックスもなされている。一般の人でもこの程度の内容は知った上で、皆さん自身が質問を受けるかもしれません。 | 清水茜 著、原田知幸 監修 | 講談社 |
参考書 | 休み時間の免疫学(改訂第3版)(2018) 読みやすく、多くの学生に支持されている。 | 齋藤紀先 著 | 講談社 |
参考書 | 好きになる免疫学 (第2版)(2019)、同ワークブック(2020) 要点が絞られており、通読も可能。 | 萩原清文 著、山本一彦 監修 | 講談社 |
1.自然免疫と獲得免疫、液性免疫と細胞性免疫などの基本概念について説明できる
2.補体、抗菌・炎症性物質、サイトカインの構成分子、機能について説明できる
3.各自然免疫担当細胞の特性と機能について説明できる
4.病原体分子やダメージ関連分子のパターン認識による感知機構や炎症について説明できる
5.遺伝子再構成による抗原受容体の生成と発現細胞の分化・選択機構、抗原認識機構、認識以降のシグナル伝達について説明できる
6.免疫応答とその帰結について液性免疫・細胞性免疫の2つのタイプを説明できる
7.T細胞サブセットやB細胞の分化と機能について説明できる
8.各感染性病原体に対する生体防御機構と病原体の免疫逃避機構について説明できる
9. 免疫記憶とワクチンの種類・原理について説明できる
10.アレルギー(過敏反応)の4型(5型)の発症メカニズムと代表的疾患について説明できる
11.自己寛容とその破綻による自己免疫疾患、アロ移植片に対する免疫応答についてMHC/HLAとの関係から説明できる
12.免疫細胞や分子機能の欠損による各免疫不全症候群の病態について説明できる
13.腫瘍や妊娠における免疫系の作用を説明できる
14.免疫学的検査法について原理とともに説明できる
15.免疫抑制・活性化に作用する低分子薬や抗体製剤の作用機構について説明できる
・選択式・記述式のテストによる、基本的概念の理解度の評価(全体評価のうち95%)。
・授業態度・実習レポートによる評価(~ 5%)。
免疫学用語は日本語・英語とも、正しく使用・記述できることが必須である。
免疫の分野に限らないが、サイエンスの最先端はその多くが仮説である。講義内容、成書に記載されている知識を習得しても、既存の知識では説明ができない疑問に遭遇することもある。その疑問は、新たな発見ひいては未来の医学の発展に繋がるので、興味を持って常に自らの考え方を大切に学習することが望ましい。