英文名 | Diagnostics and Therapeutics for Mental System | |
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科目概要 | 3年後期[24コマ]、3群科目、必修、講義 | |
科目責任者 | 稲田 健 | |
担当者 | 稲田 健※, 髙橋 恵※, 大石 智※, 村岡 寛之※, 澤山 恵波※, 神谷 俊介※, 廣岡 孝陽※, 朝倉 崇文※, 斉藤 善貴※, 生地 新, 田ヶ谷 浩邦※, 田中 克俊※, 岩滿 優美, 齋藤 正範※, 三浦 祥子※ | |
教室 | M202(新校舎2階大講義室) |
担当教員は、精神科急性期治療病棟を有する大学病院で、精神科急性期治療および慢性期治療、リエゾン精神医学、老年精神医学、司法精神医学、児童精神医学に係る臨床経験、研究、教育(医学部を含む)等の経験を活用し、系統講義を通じて医師として必要な精神医学の知識習得の手助けを行う。
1. プロフェッショナリズムと倫理: ◎ | 4. 知的探究と自律的学習: ◯ | 7. 予防医学: |
2. コミュニケーション能力: ◎ | 5. チーム医療: ◯ | 8. 地域医療: |
3. 医学的知識と技術: ◎ | 6. 医療の質と安全: | 9. 国際貢献: |
精神医学に関連する諸問題に対し医学的に分析し対応できる医師を育成する。
1)主な精神疾患について、概念、疫学、病因、症状、診断、鑑別診断、治療、予後などを講義する。
2)ライフサイクルから見た精神的問題(小児・児童精神医学や老年精神医学など)、司法精神医学、産業精神医学など社会との関わり、睡眠医学など他の医療領域や一般身体科疾患との関係について講義する。
3)初回の講義で症例を呈示する。学生は2症例ずつを担当し、症状、診断、治療に関するレポートを作成する。講義最終日に、担当した症例について有志あるいは指名されたものが発表(プレゼンテーション)を行う。
系統講義を踏まえて、症例検討レポートを作成し、最終日には発表(プレゼンテーション)会を行う。
症例検討発表会では、症例のプレゼンテーションと討議を行う。これにより、病歴把握から治療方針立案までの考え方を双方向に議論することで、課題へのフィードバックを行う。
回 | 日時 | 講義テーマ | 講義内容 | 担当者 | 所属 |
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1 | 11/17(月)③ | 精神医学総論 | 精神医学とはどのような学問分野であるかを概説する。 | 稲田 健 | 精神科学 |
2 | 11/17(月)④ | 精神科診断学⑴ | 精神科における診断過程・臨床推論について講じる。症例のレポート作成、発表会について説明する。 | 稲田 健 | 精神科学 |
3 | 11/20(木)③ | 精神科診断学⑵ | 精神科における診断過程・臨床推論について講じる。症例のレポート作成、発表会について説明する。 | 稲田 健 | 精神科学 |
4 | 11/20(木)④ | 治療学⑵ 精神療法 | 精神療法の基本事項、認知行動療法、精神分析的精神療法、集団療法、家族療法等の基本について講じる。 | 生地 新 | 非常勤教員 |
5 | 11/21(金)③ | 気分障害(1) うつ病 | うつ病の概念、疫学、診断、治療について講じる。 | 澤山 恵波 | 精神科学 |
6 | 11/21(金)④ | 気分障害(2) 双極症 | 双極症の概念、疫学、診断、治療について講じる。 | 澤山 恵波 | 精神科学 |
7 | 11/25(火)③ | 器質性及び症状性精神障害 | 器質性精神障害と症状性精神障害の概念、疫学、診断、治療について講じる。 | 村岡 寛之 | 精神科学 |
8 | 11/25(火)④ | リエゾン精神医学 | リエゾン精神医学、緩和ケア、グリーフケアについて講じる。 | 村岡 寛之 | 精神科学 |
9 | 11/26(水)③ | てんかん<特別講義> | てんかんの概念、疫学、診断、治療について講じる。 | 齋藤 正範 | 客員教授 |
10 | 11/26(水)④ | 統合失調症 | 統合失調症の概念、疫学、診断、治療について講じる。 | 廣岡 孝陽 | 精神科学 |
11 | 11/27(木)③ | 認知症及び老年期に好発する精神障害 | 認知症と認知症以外の老年期に好発する精神障害の概念、疫学、診断、治療について講じる。 | 斉藤 善貴 | 精神科学 |
12 | 11/27(木)④ | 救急精神医学/ 自殺/司法精神医学 | 精神科救急における初療の基礎、自傷行為や自殺企図への理解を深め援助の基本を講じる、我が国の精神医療に関する法制度(精神保健福祉法、障害者自立支援法、心神喪失者等医療観察法、成年後見制度)、司法精神医学の基本を講じる。 | 斉藤 善貴 | 精神科学 |
13 | 11/28(金)③ | 治療学⑶ 社会療法とノーマライゼーション | 社会療法、ノーマライゼーション、精神科の地域医療における資源、連携の基本を講じる。 | 大石 智 | 精神科学 |
14 | 11/28(金)④ | 老年精神医学 | 認知症を含む老年期の精神障害や老年期メンタルヘルスの考え方と治療、支援について講義する。 | 髙橋 恵 | 非常勤教員 |
15 | 12/1(月)③ | 心理検査/ 症状評価尺度 | 知能検査、パーソナリティ検査(質問紙法、作業検査法、投影法)、神経心理学的検査、これらの3つの心理検査の特徴について講じる。 | 岩滿 優美 | 医療系研究科 |
16 | 12/1(月)④ | 治療学⑴ 身体療法(薬物療法) | 精神科治療の概要について講じる。 身体療法について、薬物療法を中心に、基本事項、作用機序、副作用などについて講じる。 | 稲田 健 | 精神科学 |
17 | 12/2(火)③ | 摂食症とパーソナリティ症 | 摂食症とパーソナリティ症の概念、疫学、診断、治療について講じる。 | 廣岡 孝陽 | 精神科学 |
18 | 12/2(火)④ | 児童・思春期の精神障害 | 児童・思春期の精神障害(知的障害<精神遅滞>、限局性学習障害、広汎性発達障害、自閉スペクトラム症、注意欠如多動性障害<ADHD>、素行障害、場面緘黙、チック障害、児童虐待)の概念、疫学、診断、治療について講じる。 | 神谷 俊介 | 精神科学 |
19 | 12/3(水)① | 不安症、ストレス関連症、身体的苦痛症または身体的体験症 | 不安症、ストレス関連症(心的外傷後ストレス症<PTSD>、適応反応症(適応障害))、解離症(解離性<転換性>障害)、身体的苦痛症などの概念、疫学、診断、治療について講じる。 | 三浦 祥子 | 健康管理センター |
20 | 12/3(水)② | 睡眠障害(睡眠- 覚醒障害群) | 正常睡眠、睡眠障害国際分類による代表的睡眠障害について講じる。 | 田ヶ谷 浩邦 | 医療衛生学部 |
21 | 12/4(木)③ | 産業精神医学 | 産業医活動と精神科の関わり、産業精神医学について講じる。 | 田中 克俊 | 医療系研究科 |
22 | 12/4(木)④ | 物質使用及び嗜癖行動による障害 | 薬物やアルコールなどの精神作用性物質の使用障害およびギャンブルなどの行動嗜癖の概念、疫学、診断、治療について講じる。 | 朝倉 崇文 | 精神科学 |
23 | 12/5(金)③ | 症例発表とまとめ⑴ | 模擬症例について、精神科症状学、診断学、治療学の知識を融合して検討する。 | 稲田 健 | 精神科学 |
24 | 12/5(金)④ | 症例発表とまとめ⑵ | 模擬症例について、精神科症状学、診断学、治療学の知識を融合して検討する。 | 稲田 健 | 精神科学 |
予習: 配布された系統講義(精神系)テキストの“ 習得度自己チェックシート” を確認し、関連した項目に関して指定参考図書を用いながら疑問点をまとめておく(1-2時間)。
復習:習得度自己チェックシートを見直し、講義内で開設された内容について、各自でまとめ、自己の学習到達度を評価する(1-2時間)。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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参考書 | 精神医学全般: | ||
参考書 | 標準精神医学 第7版 | 尾崎 紀夫(著) | 医学書院 |
参考書 | 現代臨床精神医学 第12版 | 大熊 輝雄(著) | 金原出版 |
参考書 | カプラン臨床精神医学テキスト 第3版 | 井上 令一(監修) | メディカル・サイエンス・インターナショナル |
参考書 | 精神症状: | ||
参考書 | 内科医のための精神症状の見方と対応 | 宮岡 等(著) | 医学書院 |
参考書 | 精神・心理症状学ハンドブック 第3版 | 北村 俊則(著) | 日本評論社 |
参考書 | 統合失調症: 統合失調症薬物治療ガイドライン2022 | 日本神経精神薬理学会/日本臨床精神神経薬理学会(監修) | 医学書院 |
参考書 | 双極症(双極性障害): 日本うつ病学会診療ガイドライン 双極症2023 | 日本うつ病学会(著) | 医学書院 |
参考書 | うつ病: うつ病治療ガイドライン 第2版 | 日本うつ病学会(著) | 医学書院 |
参考書 | 診断:DSM-5-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル | 髙橋三郎、大野裕(監訳) | 医学書院 |
参考書 | 児童精神: テキストブック児童精神医学 | 井上 勝夫(著) | 日本評論社 |
参考書 | ※医師国家試験対策用の参考書は、精神系診断・治療学には不向きであるため、上記参考図書を使用することが望ましい。 |
1)精神科面接の基本技能を理解する。
2)主な精神症状を列挙かつ分類できる。
3)主な精神症状から鑑別疾患を列挙することができる。
4)主な精神疾患の診断基準について理解できる。
5)精神疾患や精神症状に対する適切な治療法を説明できる。
6)主な精神疾患の疫学を説明できる。
7)一般身体科領域における精神症状への対応を理解できる。
8)精神疾患と社会との関わりを説明できる。
9)ライフサイクルと精神疾患の関わりを理解できる。
10)精神疾患の診断や鑑別診断に必要な検査を理解できる。
11)症例について、臨床推論に基づいて診断、鑑別、治療を説明できる。
筆記試験(五肢択一及び記述式)(80%)、症例のプレゼンテーションおよびレポート内容(20%) 、授業態度を総合的に判定する。
精神面の問題への対応に、誠意ある熱心な姿勢は不可欠ですが、それだけでは不十分であり、精神医学という科学の知識が必要ですので、十分に勉強されることを期待します。