英文名 | Diagnostic Radiology | |
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科目概要 | 4年前期[16コマ]、3群科目、必修、講義 | |
科目責任者 | 学部長(代行) | |
担当者 | 浮洲 龍太郎※, 原留 弘樹※, 松永 敬二※, ウッドハムス 玲子※, 石山 博條※, 狩野 有作※, 大谷 慎一※, 高山 陽子※, 高山 吉永, 藤井 馨※, 三井 康平※, 坂口 和也※, 稲田 龍司※ | |
教室 | M102(新校舎1階大講義室) |
浮洲 龍太郎・狩野 有作ほか:
臨床医および中央診療部門の技術職としての経験をもとに、画像診断検査および臨床検査について、診療における位置づけや安全管理上の問題を含めた総合的講義を行っている。
1. プロフェッショナリズムと倫理: | 4. 知的探究と自律的学習: | 7. 予防医学: |
2. コミュニケーション能力: | 5. チーム医療: | 8. 地域医療: |
3. 医学的知識と技術: ◎ | 6. 医療の質と安全: ◎ | 9. 国際貢献: |
【放射線科学】
放射線を使用すると、体外から体を傷つけずに臓器の形態や機能を観察して、様々な疾患を診断し、病態を明らかにすることができる。画像診断は全身のすべての臓器を対象とし、機器、情報技術、薬剤の進歩とともに発展を続けており、臨床医療において必要欠くべからざるものになっている。画像技術の治療応用であるインターベンショナルラジオロジー(IVR)は低侵襲の治療を実現し、様々な疾患の治療に利用されている。放射線治療は、外科手術や化学療法とともにがん集学治療の柱として役割を増している。画像上で定めた標的に集中して放射線を照射することで、高い治療効果が得られる。
放射線を利用した診断・治療は国民の健康に多大な恩恵をもたらしているが、一方で医療被ばくが増大しており、特にCT による発がんリスク増加が懸念されている。医師は放射線利用の負の側面も理解し、リスク・ベネフィットを踏まえて放射線利用の適否を判断し、その判断について患者や公衆の理解を得られなくてはならない。
放射線科学はすべての臨床医にとって必須の医療・医学分野であり、本科目では放射線の医療における適正利用に必要な基盤の形成を目指す。また、放射線安全の講義において、病院実習で放射線管理区域に立ち入るために必要な放射線防護に関する教育訓練を行う。
【臨床検査診断学】
臨床検査は基本的診療能力の基礎であり、疾患の診断、病態の把握、治療効果および予後の判定の指標として診療業務に必要不可欠である。なお、臨床検査は一般(尿、糞便)検査、血液検査、生化学検査、免疫検査、微生物検査、遺伝子・染色体検査、輸血検査などの検体検査と脳波検査、神経・筋電図検査、聴力・平衡機能検査、呼吸機能検査、循環機能検査、超音波(腹部、心臓、血管、表在など)検査などの生理検査に大別される。臨床検査の種類は膨大で年々増加しており、それらを適正に使用することが非常に重要となる。本科目では、臨床検査の基礎知識および臨床的意義、検査データの読み方、ならびに効率的な検査診断法について理解する。
【放射線科学】
・ 臓器領域毎に、画像診断の基礎となる断層解剖を学習する。
・ 代表的な疾患について、適応となる画像診断検査、画像所見、画像診断の臨床的な位置づけを学ぶ。
・ 様々な核医学検査の方法、原理、臨床適応、検査所見、診療における役割を学習する。
・ IVR について、方法の基礎、各種治療法の臨床適応と意義を学習する。
・ がん集学的治療における放射線治療の位置づけを学び、放射線治療における画像利用の実際を学習する。
・ 放射線影響を踏まえた放射線の適正使用を学ぶ。
・ 放射線管理区域への立ち入りに必要な放射線防護に関する知識を学習する。
【臨床検査診断学】
・ 一般検査では採尿法、尿定性検査、尿沈渣、便潜血反応(化学的検出法、免疫学的検出法)を学ぶ。輸血検査では血液型の生い立ち、血液型検査、交差適合試験、不規則抗体スクリーニング、ウインドウピリオドなどの輸血医療に必要な内容について学習する。
・ 血液検査では貧血および血小板減少症の検査診断法、血小板・凝固・線溶系検査の臨床的意義について学習する。血液・骨髄像では血液細胞成熟過程の正常像および代表的血液疾患の骨髄像について学ぶ。
・ 生化学検査では生化学検査へ影響を与える因子、抗凝固剤の種類、検体保存法などの基礎知識、基本的生化学検査項目の臨床的意義について学習する。
・ 感染症検査、免疫血清検査では、これらの検査を通じて臨床症状、検査所見、原因病原体の検出などから診断に至る経緯について学習する。
・ 遺伝子検査では各種遺伝子検査の基礎と応用、将来性と問題点について学習する。
・ 超音波検査では超音波検査の原理と基本的操作法、各種疾患における超音波検査所見について学習する。
資料を事前に配布し、これに沿って講義を進める。
配布された資料は通読し、講義の際に忘れずに持参すること。
講義において事前配布資料の内容に関する質問を行って解説し、理解を確認する。
回 | 日時 | 講義テーマ | 講義内容 | 担当者 | 所属 |
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1 | 4/9(水)③ | 画像解剖学 | CT・MRIによる断層画像解剖 | 三井 康平 | 放射線科学「画像診断学」 |
2 | 4/9(水)④ | 超音波検査 (腹部、頚動脈、心臓) | 超音波検査の基礎知識および臨床的意義 | 狩野 有作 | 臨床検査診断学 |
3 | 4/16(水)③ | 腹骨盤部画像診断(Ⅰ) | 腹骨盤部画像診断に用いる検査方法・断層解剖・肝胆膵疾患の画像診断 | 原留 弘樹 | 新世紀医療開発センター(先端医療領域開発部門) |
4 | 4/16(水)④ | 腹骨盤部画像診断(Ⅱ) | 泌尿器・婦人科臓器・腸管の画像診断 | 原留 弘樹 | 新世紀医療開発センター(先端医療領域開発部門) |
5 | 5/8(木)③ | 神経画像診断(Ⅰ) | 神経画像診断に用いる検査方法・画像解剖、外傷と脳血管障害の画像診断 | 浮洲 龍太郎 | 放射線科学「画像診断学」 |
6 | 5/8(木)④ | 神経画像診断(Ⅱ) | 脳腫瘍・中枢神経感染症・脱髄疾患等の画像診断 | 浮洲 龍太郎 | 放射線科学「画像診断学」 |
7 | 5/12(月)③ | 生化学検査 | 生化学検査の基礎知識および臨床的意義 | 大谷 慎一 | 輸血・細胞移植学 |
8 | 5/12(月)④ | 一般検査、輸血検査 | 一般検査、輸血検査の基礎知識および臨床的意義 | 大谷 慎一 | 輸血・細胞移植学 |
9 | 5/13(火)① | IVR | IVR の概要、方法および臨床適応 | ウッドハムス 玲子 | 新世紀医療開発センター(横断的医療領域開発部門) |
10 | 5/13(火)② | 胸部画像診断 | 胸部画像診断の検査方法・画像解剖・代表的疾患の画像診断 | 藤井 馨 | 放射線科学「画像診断学」 |
11 | 5/15(木)③ | 核医学 | 核医学の基礎・各種核医学検査の概要 | 坂口 和也 | 医療衛生学部 |
12 | 5/15(木)④ | 放射線安全 | 画像診断検査の安全管理と適正利用、放射線管理区域立入に係る教育訓練 | 稲田 龍司 | 北里大学病院放射線部 |
13 | 5/22(木)③ | 血液検査、血液・骨髄像 | 血液検査、血液・骨髄像の基礎知識および臨床的意義 | 狩野 有作 | 臨床検査診断学 |
14 | 5/22(木)④ | 放射線治療 | 放射線治療の方法、適応とがん集学治療における役割 | 石山 博條 | 放射線科学「放射線腫瘍学」 |
15 | 6/4(水)③ | 感染症検査、免疫血清検査 | 感染症検査、免疫血清検査の基礎知識および臨床的意義 | 高山 陽子 | 新世紀医療開発センター(横断的医療領域開発部門) |
16 | 6/4(水)④ | 遺伝子検査 | 遺伝子検査の基本手技と臨床応用例および最新の検査法の将来性と問題点 | 高山 吉永 | 分子遺伝学 |
予習)
資料を事前に配布するので、講義前に目を通しておくこと。
また、以下の講義内容を配布資料・ノートで復習する。
第3学年 放射線健康リスク科学「放射線治療総論」
第3学年 臨床腫瘍系「がん診断の進歩(腫瘍マーカー・遺伝子診断)」
復習)
講義資料・ノートを当日中に復習する。
必要に応じて参考図書を活用する。
1 コマ当たりの準備学習時間は予習と復習を合わせて2 時間を目安とする。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 資料を事前に配布する。 | ||
参考書 | 【放射線科学】 画像診断コンパクトナビ | 百島祐貴 | 医学教育出版社 |
参考書 | 【放射線科学】 標準放射線医学 第7版 | 医学書院 | |
参考書 | 【放射線科学】 医学生・研修医のための 画像診断リファレンス | 山下康行 | 医学書院 |
参考書 | 【放射線科学】 核医学ノート | 久保敦司、 木下文雄 | 金原出版 |
参考書 | 【放射線科学】 やさしくわかる放射線治療学 | 公益社団法人放射線腫瘍学会監修 | 秀潤社 |
参考書 | 【臨床検査診断学】 臨床に役立つ検査値の読み方・考え方 | 河野均也、西崎 統 | 総合医学社 |
参考書 | 【臨床検査診断学】 臨床検査データブック | 高久史磨 編 | 医学書院 |
参考書 | 【臨床検査診断学】 臨床検査ガイド | 和田 功、大久保昭行、永田直一、矢崎義雄 編 | 文光堂 |
参考書 | 【臨床検査診断学】 腹部エコー診断メモ | 佐藤通洋 編 | 中外医学社 |
参考書 | 【臨床検査診断学】 標準臨床検査医学(第5版) | 山田俊幸、大西宏明 編 | 医学書院 |
【放射線科学】
⑴ 画像解剖を理解し、主要な臓器・構造を画像上で同定できる。
⑵ 全身の代表的な疾患の画像所見を概説できる。
⑶ 臓器領域毎に各種画像診断検査の位置づけと臨床適応を概説できる。
⑷ 代表的なIVR の技法と適応を概説できる。
⑸ 放射線治療の方法を、画像利用を踏まえて概説できる。
⑹ 放射線治療の適応とがん集学治療における役割を概説できる。
⑺ 画像診断検査の安全管理と適正利用を説明できる。
⑻ 医療従事者の放射線防護を説明できる。
【臨床検査診断学】
⑴ 臨床検査データの適切な読み方および臨床検査の適正使用を説明できる。
⑵ 採尿法、尿定性検査、尿沈渣、便潜血反応(化学的検出法、免疫学的検出法)を説明できる。
⑶ 血液型の生い立ち、血液型検査、交差適合試験、不規則抗体スクリーニング、ウインドウピリオドなどの輸血医療に必要な内容を説明できる。
⑷ 貧血および血小板減少症の検査診断法、血小板・凝固・線溶系検査の臨床的意義を説明できる。
⑸ 血液細胞成熟過程の正常像および代表的血液疾患の骨髄像を説明できる。
⑹ 生化学検査へ影響を与える因子、生化学検査に用いる抗凝固剤の種類や検体保存法などの基礎知識、基本的生化学検査項目の臨床的意義を説明できる。
⑺ 感染症検査、免疫血清検査を通じて臨床症状、検査所見、原因病原体の検出などから診断に至る経緯を説明できる。
⑻ 各種遺伝子検査の基礎と応用、将来性と問題点を説明できる。
⑼ 超音波検査の原理と基本的操作法、各種疾患における超音波検査所見を説明できる。
筆記試験による(放射線科学 約65%、臨床検査診断学 約35%)。欠席は減点対象とする。
なお、放射線安全の講義で行う放射線管理区域立入に係る教育訓練は、病院実習に参加するために必須である。