英文名 | Diagnostics and Therapeutics for Emergency Medicine | |
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科目概要 | 4年前期[21コマ]、3群科目、必修、講義 | |
科目責任者 | 岡本 浩嗣 | |
担当者 | 岡本 浩嗣※, 浅利 靖※, 片岡 祐一※, 根本 充※, 金井 昭文※, 新井 正康※, 杉本 孝之※, 熊澤 憲一※, 君塚 幸子※, 丸橋 孝昭※, 栗原 祐太朗※, 服部 潤※, 松田 弘美※, 安藤 寿恵※, 西澤 義之※, 日向 俊輔※, 丸木 英雄※, 大井 真里奈※, 杉本 佳香※, 和唐 純平※, 馬場 香子※ | |
教室 | M102(新校舎1階大講義室) |
浅利 靖ほか:
臨床経験を踏まえ、救命救急医学では、救急診療の基本、過度の侵襲に対する診療、災害時の診療について概説する。
岡本 浩嗣ほか:
臨床経験を踏まえ、麻酔科学では、侵襲時の循環管理とモニタリング、 侵襲時の呼吸管理とモニタリング、全身麻酔・区域麻酔、産科麻酔、ペインクリニックとがん性疼痛、周術期危機管理、集中治療医学について概説する。
根本 充ほか:
臨床経験を踏まえ、形成外科・美容外科学では、総論、先天性疾患、後天性疾患、美容外科について概説する。
1. プロフェッショナリズムと倫理: ◎ | 4. 知的探究と自律的学習: ◎ | 7. 予防医学: |
2. コミュニケーション能力: ◎ | 5. チーム医療: ◎ | 8. 地域医療: ◎ |
3. 医学的知識と技術: ◎ | 6. 医療の質と安全: ◎ | 9. 国際貢献: |
1) 救命救急医学:突然の病気や外傷など過大な侵襲に襲われた事態で、医師としてどのような診断と治療を行うべきかについて理解する。また、命を救うために整備されている社会の仕組みについても学ぶ。
2) 麻酔科学:手術や外傷といった侵襲に対する生体反応管理学としての麻酔学を理解する。麻酔の必要性、方法、麻酔薬の使い方を理解する。安全な麻酔のためのモニターを理解する。ペインクリニックで扱う患者の診断と治療法を学ぶ。侵襲時の呼吸、循環管理を通して急性期医療における全身管理法を理解する。がん性疼痛に対する麻酔科学の役割を理解する。集中治療医学を理解する。
3) 形成外科・美容外科学:本講では形成外科・美容外科学で取り扱われる主な疾患を中心に講義を行い、再建外科としての形成外科を理解するとともに臨床実習を行なうために必要な基礎的知識を習得することを目標とする。
1)救命救急医学
⑴救急診療の基本、⑵過度の侵襲に対する診療、⑶災害時の診療の3 つに分けて講義する。
⑴ 救急診療の基本では、病気や怪我の患者に対応する時には常に緊急度・重症度を考慮して診療すること。また、重症患者を救命するためのメディカルコントロール体制などについて講義を行う。
⑵ 過度の侵襲に対する診療では、心停止、外傷、中毒などでは致死的病態の鑑別診断と治療を同時に行う必要があり、その診断と治療について講義する。
⑶ 災害時の診療については、重症者を優先して救命するためのトリアージの概念や災害時の医療対応について講義を行う。
2)麻酔科学
⑴侵襲時の循環管理とモニタリング、⑵侵襲時の呼吸管理とモニタリング、⑶全身麻酔・区域麻酔、⑷産科麻酔、⑸ペインクリニックとがん性疼痛、⑹周術期危機管理、⑺集中治療医学 の7項目に分けて講義する。
3)形成外科・美容外科学
⑴総論⑵先天性疾患⑶後天性疾患⑷美容外科の4 つの部門に分けて講義する。
⑴ 総論では、創傷治癒・体表面解剖に関し講義を行い、さらに機能的・形態的改善を目指す形成外科学の特徴について講義を行う。
⑵ 先天性疾患については、口唇口蓋裂、多合指症等を中心に、機能のみならず個人を社会に適応させQOL を高めることを目指す手術法について講義を行う。
⑶ 後天性疾患については、顔面外傷を中心に診断、プライマリケアのポイントを講義する。また、皮膚悪性腫瘍、難治性潰瘍について再建を含めた手術法について講義を行う。
⑷ 美容外科については眼瞼の形成手術を中心に講義を行う。またレーザー、フィラーなど最新の美容治療についても講義を行う。
1)救命救急医学
テキストと不足分はプリントを配布し講義を進める。テーマによっては、課題(症例)を提示し、ディスカッション形式で議論して知識を定着させる。次回の授業で課題の中に誤解があればコメントする。
2)麻酔科学
参考図書の他、スライド・プリント等を使用する。議論形式でフィードバックを行う。
3)形成外科・美容外科学
テキストと不足分はプリントを配布し、スライドを用いて講義を進める。コメントで講評などをあわせてフィードバックを行う。
回 | 日時 | 講義テーマ | 講義内容 | 担当者 | 所属 |
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1 | 3/28(金)③ | 創傷治癒と皮膚腫瘍 | 形成外科の扱う疾患と手術手技の進歩、特に組 織移植と創傷治癒の基本について解説する。また、皮膚腫瘍の外科治療と再建についても講義する。 | 和唐 純平 | 形成外科・美容外科学 |
2 | 3/28(金)④ | 手外科・マイクロサージャリー | 手の基本的な解剖、機能を解説するとともに代表的な手外科疾患を講義する。 | 根本 充 | 形成外科・美容外科学 |
3 | 3/31(月)① | 熱傷・顔面外傷Ⅰ | 日常診療でも役立つ顔面外傷と熱傷の診断と治療について講義する。 | 熊澤 憲一 | 形成外科・美容外科学 |
4 | 3/31(月)② | 顔面外傷Ⅱ・顎口腔疾患 | 中顔面・下顔面の各種骨折の病態と顎口腔の生じる主に病原性疾患について講義する。 | 君塚 幸子 | 形成外科・美容外科学 |
5 | 4/1(火)① | 口唇口蓋裂と関連疾患 | 口唇口蓋裂の病態・症候を解説するほか、当院の手術治療、チーム医療について講義する。 | 杉本 孝之 | 形成外科・美容外科学 |
6 | 4/1(火)② | 乳房再建と眼瞼下垂、形成外科・美容外科領域における再生医療(組織工学)の現状と将来像 | 乳癌時の再建について、及び日常触れることの多い眼瞼下垂に関し疾患の原因や診断基準、手術法等について講義する。また形成外科領域に関連する再生医療(組織工学)について、その歴史と現在の問題点、今後の展望などを解説する。 | 杉本 佳香 | 形成外科・美容外科学 |
7 | 4/2(水)② | 形成外科と美容外科 | 形成外科は大きく再建外科と美容外科に分けられる。これらについて講義する。 | 馬場 香子 | 形成外科・美容外科学 |
8 | 4/2(水)③ | 臨床中毒学総論 | 中毒初療ポイント、および胃洗浄、活性炭投与などの基本的診療と頻度の多い薬毒物中毒について講義する。 | 丸木 英雄 | 救命救急医学 |
9 | 4/2(水)④ | 救急医学総論 | 救急患者の診療のポイントである緊急度・重症度判定について学び、さらに我が国の救急医療システム、メディカルコントロール体制についても講義する。 | 浅利 靖 | 救命救急医学 |
10 | 4/3(木)③ | 心肺蘇生の理論と実際 | 心肺蘇生ガイドラインに準じて心肺蘇生の理論と手技を講義する。 | 丸橋 孝昭 | 救命救急医学 |
11 | 4/3(木)④ | 救急医療における感染症 診療と感染制御 | 発熱、咽頭痛、咳、呼吸困難を訴えて救急外来を受診する患者は多く、その鑑別診断と自らが感染に罹患しないための感染防護を含めた感染制御について講義する。 | 大井 真里奈 | 救命救急医学 |
12 | 4/4(金)① | 外傷の初期診療 | 致死的損傷を早期に見つけ出し診断と治療を行うためのプライマリーサーベイおよびセカンダリサーベイの基本について講義する。 | 片岡 祐一 | 救命救急医学 |
13 | 4/4(金)② | ショックの病態と診断 | 閉塞性ショック、出血性ショック、敗血性ショックなどの各種ショックの病態と診断について講義する。 | 栗原 祐太朗 | 救命救急医学 |
14 | 4/7(月)③ | 災害医療概論 | 災害時のトリアージの基本、災害時医療体制やDMAT について講義する。 | 服部 潤 | 救命救急医学 |
15 | 4/7(月)④ | 全身麻酔と区域麻酔 | 全身麻酔と区域麻酔の総論と各論について講義する。 | 松田 弘美 | 麻酔科学 |
16 | 4/8(火)① | ペインクリニック | 痛みの定義・伝達・分類・診断・治療について講義する。 | 金井 昭文 | 新世紀医療開発センター(横断的医療領域開発部門) |
17 | 4/8(火)② | 気道・呼吸管理とそのモニタリング | 周術期の気道・呼吸管理とそのモニタリングについて講義する。 | 安藤 寿恵 | 麻酔科学 |
18 | 4/9(水)① | 心臓・循環管理とそのモニタリング | 周術期の心臓・循環管理とそのモニタリングについて講義する。 | 岡本 浩嗣 | 麻酔科学 |
19 | 4/9(水)② | 産科麻酔と無痛分娩 | 産科麻酔の実際と無痛分娩の日本の現状について講義する。 | 日向 俊輔 | 麻酔科学 |
20 | 4/10(木)③ | 集中治療 | 集中治療について講義する。 | 新井 正康 | 新世紀医療開発センター(横断的医療領域開発部門) |
21 | 4/10(木)④ | 感染管理・輸液の知識 | 感染管理/輸液に関しての基礎知識について講義する。 | 西澤 義之 | 麻酔科学 |
1)救命救急医学
予習:テキストを事前に読み、専門用語などで意味が分からないところは調べておくこと。自分なりに学ぶべきポイントを推察し講義に臨むこと。(30分程度)
復習:講義でポイントとしたところは臨床実習で必要となるので、学習ノートなどを作成し習得すること。(30分程度)
2)麻酔科学
予習:参考図書に目を通しておくこと。(20分程度)
復習:講義内容を参考図書と照らし合わせる等、振り返っておくこと。(40分程度)
3)形成外科・美容外科学
予習:教科書・テキストを事前に読み、講義に臨むこと。(20分程度)
復習:講義内容を参考図書と照らし合わせる等振り返っておくこと。(40分程度)
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 1)救命救急医学 | ||
教科書 | 標準救急医学 | 日本救急医学会 | 医学書院 |
教科書 | 急性中毒診療ハンドブック | 上條吉人 | 医学書院 |
教科書 | 外傷初期診療ガイドライン | 日本外傷学会・日本救急医学会 | へるす出版 |
教科書 | 緊急被ばく医療テキスト | 青木芳朗、前川和彦 | 医療科学社 |
教科書 | 2)麻酔科学 標準 麻酔科学(第7 版) | 稲田英一 他 | 医学書院 |
教科書 | 3)形成外科・美容外科学 標準形成外科学(第7版) | 平林慎一、鈴木茂彦 | 医学書院 |
参考書 | 1)救命救急医学 救急疾患の早期診断と初期治療 | 小濱啓次 編 | 新興医学出版 |
参考書 | 2)麻酔学 気道管理ガイドブック 改訂第2版 | 岡本浩嗣 監修 | 真興交易医書出版部 |
参考書 | 3)形成外科・美容外科学 形成外科ADVANCE シリーズ | 波利井清紀 ほか編 | 克誠堂出版 |
参考書 | その他の参考図書 3)形成外科・美容外科学 Plastic Suegery | Grabb & Smith | Little Brown |
1)救命救急医学:
①緊急度・重症度の違いについて説明できる。
②緊急度判定に必要な要員を説明できる。
③我が国の救急医療システムについて説明できる。
④致死的損傷について診断し初療について説明できる。
⑤急性薬毒物中毒の初期治療について説明できる。
⑥心停止の蘇生のアルゴリズムを説明できる。
⑦災害時のトリアージについて理解し活用できる。
2)麻酔科学:
①全身麻酔の流れに即して、術前評価、麻酔導入、麻酔維持、麻酔覚醒、術後管理を説明できる。
②全身麻酔に使用される麻酔薬について説明できる。
③区域麻酔として硬膜外麻酔、脊髄くも膜下麻酔、神経ブロックについて説明できる。
④周術期気道と呼吸の管理とそのモニタリングについて説明できる。
⑤周術期循環の管理とそのモニタリングについて説明できる。
⑥術後急性痛や慢性疼痛についてその機序と治療方法を説明できる。
⑦がん性疼痛についてその機序と緩和医療を説明できる。
⑧術後患者や院内急変患者の集中治療において呼吸・循環・感染管理の実際を説明できる。
⑨院内急変患者への迅速対応や呼吸療法サポートについて説明できる。
⑩安全な周術期患者管理について説明できる。
3)形成外科・美容外科学:
①組織移植と創傷治癒の基本について説明できる。
②皮膚腫瘍における形成外科的治療について説明できる。
③健康長寿を目指すアンチエイジング医学について説明できる。
④手の基本的な解剖・機能について説明できる。
⑤代表的な手外科疾患について説明できる。
⑥顔面外傷として中顔面・下顔面の各種骨折の病態について説明できる。
⑦熱傷の診断と治療について説明できる。
⑧口唇口蓋裂の病態・症候について説明できる。
⑨当院における口唇口蓋裂の手術治療・チーム医療について説明できる。
⑩眼瞼の疾患、特に加齢性眼瞼下垂症について眼瞼の解剖を含め治療について説明できる。
⑪症例や手技に関して適切な質問を行い理解を深め、説明できる。
各単位ごとに評価基準を設け、それぞれの評価を集計して判定する。
1)救命救急医学:講義での積極的な参加は加点対象とし、学習態度20% と試験80% による総合評価とする。なお、欠席は減点対象とする。
2)麻酔科学:受講態度 20%、記述試験 80% で到達目標に達しているか評価する。なお、欠席は減点対象とする。
3)形成外科・美容外科学:受講態度20%、記述試験80% による。なお、欠席は減点対象とする。
到達目標に則した記述試験と、ミニッツ・ペーパー等を用いた理解度、受講態度による総合評価とする。