Web Syllabus(講義概要)
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精神科実習(M304-CM15)
英文名Clinical rotation(Clinical Clerkship:Psychiatry)
科目概要4年[3週]、3群科目、必修、実習
科目責任者稲田 健
担当者稲田 健※, 大石 智※, 村岡 寛之※, 澤山 恵波※, 廣岡 孝陽※, 斉藤 善貴※
教室

実務経験のある教員

稲田 健ほか:
担当教員は、精神科スーパー救急病棟、精神科アウトリーチチームを有する大学病院で、精神科急性期治療および慢性期治療、リエゾン精神医学、老年精神医学、司法精神医学、児童精神医学に係る臨床経験、研究、教育(医学部を含む)等の実務経験を活用し、臨床実習を通じて医師として必要な精神医学の知識習得の手助けを行う。

卒業・学位授与の方針と当該科目の関連

1. プロフェッショナリズムと倫理: ◎4. 知的探究と自律的学習: ◯7. 予防医学: ◯
2. コミュニケーション能力: ◎5. チーム医療: ◎8. 地域医療: ◎
3. 医学的知識と技術: ◎6. 医療の質と安全: ◎9. 国際貢献: ◯

授業の目的

 精神科実習では、第3学年に精神系診断・治療学の講義内容で修得した知識を活用し、主要な精神疾患の実地診療を担当医の指導下で経験することで、精神医学の知識の拡充および整理を図る。受持ち患者の担当医として病棟医や指導医と共に臨床現場で行動し、積極的な診療参加を通じることで、基本的な医療面接技術、病歴・生活歴の取り方、精神症状の把握方法を学び、精神医学的診断と治療を理解することを目的とする。

教育内容

実習内容は、1)病棟実習、2)リエゾン・コンサルテーション実習、3)グループ学習(講義形式、グループワーク、TBL(チーム基盤型学習)を含む)に大別される。
※感染拡大等の際には、テレビ会議システムを使用する場合がある。
1)病棟実習
a.各学生が1人の患者を担当し、担当患者の主治医チームに所属する。
b.担当患者の回診と診療会議に参加し、プレゼンテーションする。
c.指導医が行う担当患者の面接に同席する。
d.指導医の指示の範囲で担当患者と毎日面接を行い、カルテ作成を行う。
e.毎夕、指導医から直接カルテチェックを受け、担当患者についての相談あるいは助言を受ける。
(積極的に指導を受けるよう心がけること。学生から要望や質問がない限り担当医からは特別な指導が行われないことがあるため留意されたい。)
f.実習最終週に、担当患者について発表(プレゼンテーション)を行う。
2)リエゾン・コンサルテーション実習
a.各学生が1人の患者を担当し、担当患者の主治医チームに所属する。
b.担当患者の回診と診療会議に参加する。
c.指導医が行う担当患者の面接に同席する。
d.指導医の指示の範囲で担当患者と毎日面接を行い、カルテ作成を行う。
e.毎夕、指導医から直接カルテチェックを受け、担当患者についての相談あるいは助言を受ける。
f.実習最終日までに、担当患者についてのレポート作成を行う。
3)グループ学習
a.臨床講義
統合失調症、双極症、うつ病、認知症、アルコール使用障害、児童精神医学、心理検査、電気けいれん療法について、各専門医が臨床講義を実施する。
b.医療面接(Mini-CEX)
主治医及び同グループ学生の同席のもとで、担当患者の面接を行う。病状の把握、コミュニケーション能力、臨床判断、プロフェッショナリズム、マネジメント、総合臨床能力を評価され、得られた情報に基づき、担当指導医を含め全員で医療面接・診察技能について討論を行い、最後に担当指導医が関連事項を解説する。
c.筆記試験問題学習
実習初日に過去の医師国家試験及び総合試験問題をまとめた問題集(150問)を配布する。実習期間中に各自で解答し、不明な点は参考図書などを活用し調査しておく。グループ内で生じた疑問点や問題をまとめておき、担当指導医が講義でそれらを解説する。
d.依存症集団精神療法
依存・嗜癖を対象とした集団精神療法の場に参加する。患者が安心して参加できる場とするため、個人情報の取り扱いには十分注意すること。
e.生活向上プログラム(心理教育プログラム)
作業療法を軸として、疾患学習、ストレス対処法、コミュニケーションスキルなど様々なプログラムをグループディスカッションあるいは講義形式で行う生活向上プログラムに参加する。患者が安心して参加できる場とするため、個人情報の取り扱いには十分注意すること。
f.電気けいれん療法
電気けいれん療法の実際を見学し、その実施方法・適応疾患・効果・副作用等について、担当指導医のもとで学習する。

教育方法

症例発表:担当症例について、グループ内で発表(プレゼンテーション)を行う。発表の最後に、担当指導医が、よくできた発表・考察あるいは誤解についてコメントする。
Mini-CEX:グループ内の学生と担当指導医が同席のもとで担当患者の医療面接を実技として行う。実技後に、担当指導医を含め医療面接・診察技能について討議(ディスカッション)を行い、最後に担当指導医が模範的な面接やその関連事項について解説する。
臨床講義:事前に担当指導医から配布された課題に対して個人とグループ内での双方から解決を行うTBL(チーム基盤型学習)を中心に行う。講義の最後に配布資料を用いて、課題の中の特徴的な見解や誤解についてコメントする。その他、パワーポイントと配布資料、またはe-learningによる動画を活用した講義形式ですすめる講義も含まれる。
筆記試験問題学習:実習初日に配布された問題集を個別に学習し、グループ内で課題を抽出する。グループ内で生じた課題に対して担当指導医とともに、講義内で解答を検討する。

準備学習(予習・復習)

予習: 第3 学年で配布した精神系診断・治療学のテキストを読み返し、主要な精神疾患(統合失調症、双極症(双極性障害)、うつ病など)の精神症状、診断方法、治療内容について、知識の再確認をしておくこと。(1−2 時間)
復習:毎日、実習終了ごとに不明な内容や用語など疑問点を抽出し、下記に提示された参考図書などを用いて学習・調査を実施する(1−2 時間)。更なる疑問点については、担当教員と討論すること。

教材

種別書名著者・編者発行所
参考書精神医学全般:
参考書標準精神医学 第7 版尾崎 紀夫(著)医学書院
参考書現代臨床精神医学 第12 版大熊 輝雄(著)金原出版
参考書カプラン臨床精神医学テキスト 第3 版井上 令一(監修)メディカル・サイエンス・インターナショナル
参考書精神症状:
参考書内科医のための精神症状の見方と対応宮岡 等(著)医学書院
参考書精神・心理症状学ハンドブック 第3 版北村 俊則(著)日本評論社
参考書統合失調症:
統合失調症薬物治療ガイドライン2022
日本神経精神薬理学会/日本臨床精神神経薬理学会(監修)医学書院
参考書うつ病:
うつ病治療ガイドライン 第2 版
日本うつ病学会(監修)医学書院
参考書双極症(双極性障害):
日本うつ病学会診療ガイドライン 双極症2023
日本うつ病学会(監修)医学書院
参考書薬物療法:
本当にわかる精神科の薬 はじめの一歩 改訂第3 版
稲田 健(著)羊土社
参考書児童精神:
テキストブック児童精神医学
井上 勝夫(著)日本評論社
参考書脳波:
脳波レポートの読み方
齋藤 正範(著)星和書店
参考書診断:DSM-5-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル高橋三郎、大野裕(監訳)医学書院
教科書
署名
著者・編者
発行所
参考書
署名
精神医学全般:
著者・編者
発行所
参考書
署名
標準精神医学 第7 版
著者・編者
尾崎 紀夫(著)
発行所
医学書院
参考書
署名
現代臨床精神医学 第12 版
著者・編者
大熊 輝雄(著)
発行所
金原出版
参考書
署名
カプラン臨床精神医学テキスト 第3 版
著者・編者
井上 令一(監修)
発行所
メディカル・サイエンス・インターナショナル
参考書
署名
精神症状:
著者・編者
発行所
参考書
署名
内科医のための精神症状の見方と対応
著者・編者
宮岡 等(著)
発行所
医学書院
参考書
署名
精神・心理症状学ハンドブック 第3 版
著者・編者
北村 俊則(著)
発行所
日本評論社
参考書
署名
統合失調症:
統合失調症薬物治療ガイドライン2022
著者・編者
日本神経精神薬理学会/日本臨床精神神経薬理学会(監修)
発行所
医学書院
参考書
署名
うつ病:
うつ病治療ガイドライン 第2 版
著者・編者
日本うつ病学会(監修)
発行所
医学書院
参考書
署名
双極症(双極性障害):
日本うつ病学会診療ガイドライン 双極症2023
著者・編者
日本うつ病学会(監修)
発行所
医学書院
参考書
署名
薬物療法:
本当にわかる精神科の薬 はじめの一歩 改訂第3 版
著者・編者
稲田 健(著)
発行所
羊土社
参考書
署名
児童精神:
テキストブック児童精神医学
著者・編者
井上 勝夫(著)
発行所
日本評論社
参考書
署名
脳波:
脳波レポートの読み方
著者・編者
齋藤 正範(著)
発行所
星和書店
参考書
署名
診断:DSM-5-TR 精神疾患の診断・統計マニュアル
著者・編者
高橋三郎、大野裕(監訳)
発行所
医学書院

到達目標

1)基本的な医療面接を実施できる。(技能・表現)
2)主要な精神疾患の精神症状を把握し、記述できる。(知識・理解)
3)主要な精神疾患の診断かつ基本的治療方針を説明できる。(知識・理解)
4)担当患者の面接を指導医の指示の範囲で実施できる。(技能・表現)
5)担当患者と適切なコミュニケーションをとることができる。(技能・表現)
6)入院患者の治療法について、受け持ち医に適切な質問・相談ができる。(関心・意欲・態度)
7)隔離室で治療を受ける重症患者の面接を経験し、配慮できる。(関心・意欲・態度)
8)担当患者の病歴、診断、治療、自らが行った面接の内容について、プレゼンテーションを実施できる。(技能・表現)
9)初診患者の鑑別診断、必要な検査を列挙できる。(知識・理解)
10)外来・病棟のスタッフと適切なコミュニケーションをとることができる。(技能・表現)
11)リエゾン精神医療について説明できる。(知識・理解)
12)多職種連携の実際を経験し、チームの一員として積極的に参加できる。(関心・意欲・態度)
13)地域の特性に基づいた精神科診療について説明できる。(知識・理解)

評価基準

A . 症例発表・口頭試問(25%)※レポートを提出する。
B . 筆記試験(25%)
C . 症例サマリー・カルテ作成(25%)※レポートを提出する。
D . 医療面接の技能試験(Mini-CEX)(25%)
E . 予診・面接態度・スタッフとのコミュニケーション
※上記の評価が基準を下回っていても実習態度が良好な学生は合格とする場合があります。

その他注意事項

初回集合場所・時間
場所:西館2H 病棟 出入り口付近 エレベーターホール前
時間:午前8時30分

その他の注意事項
1)患者さんが実習に協力してくださっていることに対して、感謝の気持ちを忘れないでください。
2)医学部の教員が実習に関与することは当然ですが、それ以外にも多くの病院スタッフの協力の上に病院実習が成り立っています。患者様や病院スタッフからみて不適切な態度や行動が認められたならば、成績が優秀であっても不合格とすることがありますので、気をつけてください。