Web Syllabus(講義概要)
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衛生・公衆衛生実習(M304-SM15)
英文名Clinical rotation(Hygiene and Public Health)
科目概要5年[1週]、3群科目、必修、実習
科目責任者堤 明純, 堀口 兵剛
担当者堤 明純※, 堀口 兵剛※, 武藤 剛※, 松崎 慶一※, 伊東 秀憲※, 新井 雄司※, 引地 博之※, 渡邉 和広※, 大森 由紀※, 三木 猛生※, 鈴木 雄介※, 内野 彰子※, 宮本 康雄※, 鈴木 祥充※, 吉岡 弘毅※
教室

実務経験のある教員

堤 明純・堀口 兵剛:
地域医療および産業医実務経験を踏まえ、地域医療、産業医実務、保健行政の意義・仕組み、予防活動について教授する。
武藤 剛:臨床経験と産業医の実務経験を活かし、保健所地域保健ならびに産業医実習の指導を行う。
松崎慶一:臨床経験と産業医の実務経験を活かし、地域医療、産業医実務について指導を行う。
大森由紀:衛生管理実務経験を活かし、大学病院環境衛生施設等見学実習の指導を行う。
渡邉和広:臨床心理士としての経験を活かして、行動変容や保健指導の実習指導を行う。
引地博之:疫学専門家としての経験を活かして、疫学演習の指導を行う。
福田誠一:臨床経験を活かし、予防医学、研究所病院について指導を行う。
金子博徳:整形外科での実務経験を活かし、スポーツ医学等について指導を行う。
新井雄司:研究所病院での実務経験を活かし、メディカルフィットネス等について指導を行う。
伊東秀憲:医師としての実務経験を活かし、漢方・鍼灸について指導を行う。
三木猛生:臨床経験と産業医、元JAXAフライトサージャンの実務経験を活かし、宇宙環境医学について指導を行う。
鈴木雄介:北里研究所病院等での実務経験を活かし、指導を行う。
内野彰子:北里研究所病院等での実務経験を活かし、予防医学について指導を行う。
宮本康雄:北里研究所病院等での実務経験を活かし、予防医学について指導を行う。
鈴木祥充:リハビリテーション技術科等での実務経験を活かし、メディカルフィットネスセンターの見学等を行う。
吉岡弘毅:薬剤師としての実務経験を生かして、衛生管理と他職種連携について指導を行う。

卒業・学位授与の方針と当該科目の関連

1. プロフェッショナリズムと倫理: ◯4. 知的探究と自律的学習: 7. 予防医学: ◎
2. コミュニケーション能力: ◎5. チーム医療: ◯8. 地域医療: ◎
3. 医学的知識と技術: ◎6. 医療の質と安全: ◎9. 国際貢献:

授業の目的

 衛生学・公衆衛生学の実践には疾病の病態や治療に関する知識だけでなく、集団における疾病の動向、人々の行動、労働環境や食品などの生活環境を通して起こる健康影響、並びに法令や政策などとその学ぶべき範囲は広い。本実習では、医師になるために必要な行動科学、予防医学、疫学(EBM)、地域保健、環境保健、産業保健の知識、考え方とその実践法を身に付ける。

教育内容

 国家試験出題基準も含んだ講義と演習を通じて、広範な衛生学・公衆衛生学の知識を身につけるとともに、北里研究所病院実習を通じて、予防医学的立場からの臨床医の役割について学ぶ。さらに、病院、産業現場、保健所等での見学を通じ、職住環境が健康に与える影響や、その対策について考える機会を持つ。また、保健指導実習では、健常者及び生活習慣病の患者に対する保健指導のあり方を栄養学、行動科学的側面、実践的側面から学ぶ。
① 行動変容理論:
人の行動を扱うには従来の医学では限界があったが、行動科学・心理学の技術や知識を応用する行動医学的アプローチが有効であることのエビデンスが集積している。行動医学的アプローチは、予防医学のみならず臨床医学にも広い適用があり、投薬や手術以外の治療技術を提供している。行動変容理論では、具体的な行動変容の実践やスキルと、その理論的背景を学ぶ。
② 疫学演習:
疫学演習は、医師になった際に必要となる疫学の指標と応用(臨床判断学及びEBM)に関する最低限の知識と考え方を身につけることを目的としている。4学年で学んだ疫学の考え方・方法を臨床の場にどのように応用できるかを提示する。以下の疫学指標の算出方法について演習を通して学ぶ(相対危険、寄与危険、スクリーニング特性、年齢調整死亡率、オッズ比、尤度比、治療必要数、など)。
③ 大学病院環境衛生施設等見学実習:
医療機関に特有の環境衛生対策、例えば感染性廃棄物、放射性廃棄物等の処理について、また、上水・下水・医療ガス等施設について、身近な北里大学病院の環境衛生施設等の見学を通して学ぶことにより、医師として日常診療に従事する上で必要な医療現場における衛生管理の意義を理解する。
④ 産業医実習:
産業医が勤務している工場などの事業所へ行き、職場巡視、健康診断、安全衛生委員会への出席等の産業医の実務を体験・見学することにより、労働者の健康管理における産業医の役割及びその重要性を理解する。
⑤ 公衆衛生行政関連施設実習:
大学近辺の保健所、あるいはそれに類する関連施設を訪問し、一般健康相談、乳幼児健診、生活習慣病予防教室、等の事業に参加することにより、地域保健行政の実際及びその役割についての理解を深める。
⑥ 北里研究所病院実習:
北里柴三郎先生の予防医学の考え方、病院の歴史について理解できるような対話形式の講義を行う。臨床部門と連携した研究部門(バイオメディカル・ラボ)の見学を通じ、臨床研究の重要性について理解する。メディカルフィットネス、ドック部門の施設見学により特色のあるスポーツ医学や医療の理解を深める。がんや生活習慣病等の「早期発見」から更に一歩踏み込み、受診者の生活習慣に起因するリスクファクターの発見や総合健康管理、東洋医学診療を実践している場を見学し、実践する。
⑦ 栄養指導:
健康増進、生活習慣病の予防は、現在の医療において最重要課題である。公衆衛生での臨床実習では、これらの行動変容を意識した健康課題に対する指導のあり方を学ぶ。具体的にはエビデンスに基づく保健指導とは何か、また食事・栄養指導のあり方について学ぶ。
⑧ 医療安全と医師のコミュニケーション:
医療法に定められている主な内容を把握する。医療ミス等を想定したケースを利用したロールプレイ実習を行う。
⑨ 宇宙環境医学(選択):
有人宇宙滞在を見据え、宇宙環境生活に関する極限環境衛生を学び、宇宙飛行士の労働衛生管理や将来の月面有人滞在の環境衛生上の課題を整理する。

教育方法

講義の場合は、テキストに沿って講義を進める。OSCE 課題については、公衆衛生関連施設、産業医関連施設等との質疑で課題の解消に努める。演習においては、自身で課題に取り組み回答を作成する。施設見学を実施して、医療機関の衛生管理を学ぶ。講義、演習、OSCE 発表時に行う口頭試問に対する解答をフィードバックする。ロールプレイを実演させ、好ましい対応方法をフィードバックする。

準備学習(予習・復習)

【授業時間以外に必要な学習の時間:1.5 時間】
予習: 衛生・公衆衛生実習書の該当箇所および学習支援システムに挙げる資料を通読しておく(0.5時間)。
復習: 各自で学習ノートを作成する。特に見学・実技を伴う実習では学習記録をOSCE 課題及び最終レポートに反映させるようにする(1.0 時間)。OSCE 課題作成、レポート作成時に、改めて実習内容の振り返りを行う。

教材

種別書名著者・編者発行所
参考書国民衛生の動向
(毎年8 月下旬頃に新版)
財団法人厚生統計協会 編
参考書労働衛生のしおり厚生労働省労働基準局 編中央労働災害防止協会
参考書環境白書 循環型社会白書/ 生物多様性白書
参考書基礎から学ぶ楽しい疫学 第4版医学書院
参考書※参考図書は衛生学・公衆衛生学教室に常備してあり、適宜閲覧可能です。
教科書
署名
著者・編者
発行所
参考書
署名
国民衛生の動向
(毎年8 月下旬頃に新版)
著者・編者
財団法人厚生統計協会 編
発行所
参考書
署名
労働衛生のしおり
著者・編者
厚生労働省労働基準局 編
発行所
中央労働災害防止協会
参考書
署名
環境白書 循環型社会白書/ 生物多様性白書
著者・編者
発行所
参考書
署名
基礎から学ぶ楽しい疫学 第4版
著者・編者
発行所
医学書院
参考書
署名
※参考図書は衛生学・公衆衛生学教室に常備してあり、適宜閲覧可能です。
著者・編者
発行所

到達目標

1.行動変容理論と具体的な行動変容の実践やスキルを説明できる。
2.代表的な疫学指標(相対危険、寄与危険、スクリーニング特性、年齢調整死亡率、オッズ比、尤度比、治療必要数、など)を算出できる。
3.代表的な疫学指標の集団および臨床の場での活用方法(EBM)を説明できる。
4.医療機関に特有の環境衛生対策、感染性廃棄物、放射性廃棄物等の処理について説明できる。
5.事業場における産業保健の概要及び産業医の職務について説明できる。
6.地域保健行政の役割について説明できる。
7.スポーツ医学の意義について説明できる。
8.東洋医学診療の意義について説明できる。
9.(食事・栄養指導を中心とした)患者の特性に基づいた保健指導について説明できる。
10.対象者に合わせた健康教育のコンテンツを作成できる。
11.代表的な公害や環境汚染における健康被害について説明できる

評価基準

 最終日に行うOSCE(集団に対する健康教育(例:生活習慣病予防、産業衛生教育、感染症予防又は施設実習における課題のまとめ)を作成し発表する)を関連の項目についての口頭試問への回答を含めて評価する(50%)、さらに、関連施設を見学した内容についてのレポートと実習態度状況を評価する(50%)。

その他注意事項

OSCEにおける評価内容
 産業医実習・保健所実習を体験して得た知識を基に産業保健、保健行政に関わる事項を、その受益者となる労働者、一般地域住民等に対して教育するコンテンツを作成しプレゼンテーションする。

その他注意事項
⑴ 使用講義室・集合時間:M-215・午前9 時
⑵ 持参する実習用具:実習書
⑶ 北里研究所病院実習時には、白衣、ネームプレート、筆記用具を持参する。
⑷ 金曜日の9:00 までに、OSCE 発表スライドを、翌週月曜日の9:00 までに、レポートと北里研究所病院実習の感想文をGoogle Classroom に提出する。
⑸ 公衆衛生関連施設および産業医実習の場合は、指示に従い北里大学医学部学生としてふさわしい服装で参加する。