Web Syllabus(講義概要)
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救命救急医学実習(M304-CM15)
英文名Clinical rotation(Emergency Medicine)
科目概要5年[1週]、3群科目、必修、実習
科目責任者片岡 祐一
担当者丸橋 孝昭※, 服部 潤※
教室

実務経験のある教員

浅利 靖、片岡 祐一ほか:
指導教員は全て大学病院救命救急・災害医療センターのスタッフとして、診療の実務経験があり、心肺蘇生、外傷診療、臓器別診療科の枠に囚われない重症患者の初期診療、ドクターカー出動による現場での診療や、災害時対応、多数傷病者対応、入院後の重症患者の集中治療管理などを日々実践している。

卒業・学位授与の方針と当該科目の関連

1. プロフェッショナリズムと倫理: ◯4. 知的探究と自律的学習: ◯7. 予防医学:
2. コミュニケーション能力: ◯5. チーム医療: ◯8. 地域医療: ◯
3. 医学的知識と技術: ◎6. 医療の質と安全: 9. 国際貢献:

授業の目的

 実際の救急診療の場で重症症例の初期治療を見学し、緊急度と重症度を判断して優先度を配慮して診療すること、救命のために診断と治療を同時に進行させること、重症例では複数の病態が重なり合っているので臨機応変に診療することなど、救急診療の特徴を理解する。そして、重篤な傷病者の治療には、医師だけでなく院内の各種専門職の協力が不可欠であり、多職種によるチーム医療の重要性を理解する。救急診療の場では感染の有無は不明のため標準予防策を実施するが、近年の新型コロナウイルス感染症の流行も鑑み、N-95を含む感染予防対策、およびECMOによる呼吸管理について習得する。
また、重症傷病者は現場から搬送されるため、救命にはプレホスピタルの時間と質が影響することも理解する。さらに、ドクターカーやドクターヘリ、多数傷病者対応の意義を学ぶことで、プレホスピタルの重要性・意義への理解を深めてゆく。突発する病気や事故での傷病者と家族の心の負担も医療者は考慮し、病や怪我の治療だけでなく人としての全人的な医療が必要なことを理解する。

教育内容

5 日間の実習では、救命救急外来、当直での実習、シミュレーション教育、オンデマンド視聴による講義を実施する。
⑴ 救命救急外来では、緊急度と重症度の判断、優先度の判断、診断と治療の同時進行、プレホスピタル(救急救命士)や院内各部門や各職種との連携などについて理解するためにできる限り診療に参加する。
⑵ 当直実習では、少ない医療スタッフの中で効率よく救命医療を実践する姿を学び、知識を十分獲得していると判断される学生には診療チームに参加して体験型の実習を行う。
⑶ シミュレーション実習は、医学生が習得しなければならない二次救命救急処置、外傷の初期診療、ECMOによる呼吸管理などを経験する。
⑷ オンデマンド視聴による講義は外傷初期診療、災害・メディカルコントロール、中毒について行う。

教育方法

実習は一方的な知識の伝達ではなく、自分の考えを述べさせたうえで、実臨床を見せ、それをもとにフィードバックを行い、双方向となるよう心がける。
救命救急外来および当直での実習では、救命救急医療に特徴的な病態に関する講義とともに、実際の診療に参加させ、体験型の実習を行う。
医師以外の多職種によるチーム医療について、臨床現場で見学してもらう。
心肺蘇生や外傷の初期診療の方法や手技について、Sim Manなどを活用し、シミュレーション実習を行う。
オンデマンドによる視聴は外来の合間など時間を有効に使いつつ、必要な内容を座学で学んでもらう

準備学習(予習・復習)

予習:4年次の救急侵襲医療系診断・治療学の救命救急医学の講義内容を必ず復習しておく。実習では、心肺蘇生法、致死的外傷の初期診療、急性中毒の初期診療、トリアージなどについては理解している前提で実習を行う。(1時間程度)
復習:救急外来で診療に参加した症例については、各自、教科書を読み、病態をまとめ、自分の知識とするために復習を行うこと。(30分程度)

教材

種別書名著者・編者発行所
教科書標準救急医学日本救急医学会 編医学書院
教科書
署名
標準救急医学
著者・編者
日本救急医学会 編
発行所
医学書院
参考書
署名
著者・編者
発行所

AV資料

Emergency Management:The First 30 Minutes(HESCO)

到達目標

①救急診療の特徴を説明できる。
②重症外傷の致死的損傷について説明し、鑑別ができる。
③二次心肺蘇生法について各手技や使用薬剤の意義を説明できる。
④入院後の重症患者の全身管理について理解する。
⑤トリアージを理解し、実践できる。
⑥傷病者およびその家族の精神的苦痛を理解し配慮することができる。
⑦プレホスピタルの意義を説明できる。
⑧スタンダードプリコーションを実践できる。
⑨重症感染症患者の治療(含ECMO)について理解する。

評価基準

 実習態度(30%)、シミュレーション実習での習得状況(30%)、筆記試験・口頭試問(40%)等で総合的に評価する。
 なお、欠席は減点対象とする。

その他注意事項

初回集合場所・時間
救命救急・災害医療センター受付・午前9 時

その他注意事項
⑴ 服装について
① 救命救急・災害医療センターへの出入りでは、医学部で指定された臨床実習用のユニホームを着用し、私服での出入りは禁止する。
② 必ず名札をつける。
③ 死に直面した患者およびそのご家族に接することがあるので、身なり、服装、態度に各自、配慮すること。
④ 手指消毒、3 密回避、マスク着用し、感染防御対策を徹底する。
⑵ 当直について
① 当直実習があるので、洗面用具等個人で必要なものは各自、準備すること。
② タオル等は各自で持参し、病院の備品は使用しないこと。
③ 当直終了翌日の実習日は休みとし、寝不足による交通事故などには十分注意すること。
⑶ 学生当直室の使用について
① 1階の4床の当直室利用を基本とするが、5階の当直室も臨機応変に使用可能。5 階の4 床の当直室は女性医師が使用しているときは女子学生のみが使用可能。男性医師が使用時には男子学生が使用すること。また、IPE棟の当直室が確保される場合もある。
② 当直室は整理整頓して使用すること。実習終了後に残されていた物品はすべて破棄されるので、実習終了時には全ての物品を持ち帰り元の状態に戻して終了すること。
③ 当直室は建物の奥にあるため、ネット、携帯電話は繋がらないことに注意する。
⑷ 実習中は日中当直時間を問わず、救急実習以外の学生の出入りは厳禁(特に陣中見舞い、差し入れ等の行為)。
⑸ 実習中に見聞きした患者の個人情報の保護に十分配慮し守秘義務を遵守すること。