英文名 | Laboratory Animal Science | |
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科目概要 | 1年前期[10コマ]、3群科目、必修、実習 | |
科目責任者 | 佐藤 俊哉 | |
担当者 | 佐藤 俊哉※, 大久保 直※, 東 貞宏※ | |
教室 | M101(新校舎1階大講義室), M21(新校舎2階感染系実習室) |
脳神経内科医としての臨床経験(佐藤俊哉)、および外部研究機関で行ってきた発生・生殖工学の知識と経験(大久保直・東貞宏)を元に、総合科学としての広範な学問領域を網羅するとともに、医学に必要な実験動物学という観点から授業を行う。
1. プロフェッショナリズムと倫理: ◯ | 4. 知的探究と自律的学習: ◎ | 7. 予防医学: |
2. コミュニケーション能力: | 5. チーム医療: | 8. 地域医療: |
3. 医学的知識と技術: ◯ | 6. 医療の質と安全: | 9. 国際貢献: |
ヒトを含む種々の動物種でゲノムの解読が終了し、生命科学の重点は遺伝子機能の解析や遺伝子を利用した応用研究へと急速に発展している。生命科学としての医学研究では、病態解明や治療法開発のために動物実験が不可欠であり、ヒト疾患関連遺伝子を標的とした遺伝子改変動物の重要性が増している。
本科目では、医学研究における動物実験の意義について理解し、実験動物の特性や遺伝子改変動物の作成と利用法、さらにその基盤技術を支える生殖生物学、生殖工学、発生工学の基礎的事項を理解する。また、動物実験は命ある動物を実験対象とするため、科学的な観点のみならず、動物愛護・福祉の観点からも適正な実施が求められていることを理解する。
歴史的な観点から実験動物学を学ぶことにより、医学研究における動物実験の意義や倫理的配慮について理解を深める。その後、ヒト疾患モデルの開発に必要な知識として、発生・生殖工学技術、遺伝子改変技術、分子病理学の基礎を学ぶと共に、実習と自己学習を通じて、医学研究への応用法を理解する。
配布するプリントまたは板書に従って講義と実習を進める。また授業中に練習問題を提示し、授業の中で解答を検討する。
回 | 日時 | 講義テーマ | 講義内容 | 担当者 | 所属 |
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1 | 6/13(金)③ | 医学と実験動物学 | 医学研究における動物実験の意義、科学的かつ倫理的な動物実験の実践に必要な知識を学ぶ。 | 佐藤 俊哉 | 実験動物学 |
2 | 6/13(金)④ | ヒトに認められる配列多様体と疾患モデルの開発 | 疾患モデル開発に必要な分子病理学の知識を学び、ヒト疾患の理解を深める。 | 佐藤 俊哉 | 実験動物学 |
3 | 6/20(金)③ | 遺伝子改変マウスの作成法 | マウスとヒトの比較発生学、比較解剖学、および遺伝子改変マウスの具体的な作成法を概説する。 | 大久保 直 | 実験動物学 |
4 | 6/20(金)④ | 遺伝子改変マウスの利用法・マウスの解剖の説明 | 遺伝子改変マウスを用いた具体的な研究例や疾患モデル作成を概説する。マウスの解剖についてビデオで概説する。 | 大久保 直 | 実験動物学 |
5 | 6/27(金)③ | 実験動物の遺伝学的統御と微生物学的統御 | 実験動物の遺伝学的統御と微生物学的統御及び研究目的に適する動物種の選択方法を解説する。 | 東 貞宏 | 実験動物学 |
6 | 6/27(金)④ | 実験動物の生殖生理学と発生・生殖工学の基礎及び実習(精巣上体の冷蔵保存)の説明 | 実験動物の生殖生理学と発生・生殖工学を概説する。 加えてマウス精巣上体の冷蔵保存と採取精子の観察について説明する。 | 東 貞宏 | 実験動物学 |
7 | 7/4(金)③ | 実習:マウスの解剖、各臓器の観察とヒトとの相違、各種疾患モデル動物の検索 | A, B クラス:マウスの解剖、腹腔および胸腔臓器のスケッチ、精子の形態・運動性の観察 【M21】 C, D クラス:疾患モデル動物の課題レポート 【M101】 | 佐藤 俊哉 大久保 直 東 貞宏 | 実験動物学 |
8 | 7/4(金)④ | 実習:マウスの解剖、各臓器の観察とヒトとの相違、各種疾患モデル動物の検索 | A, B クラス:マウスの解剖、腹腔および胸腔臓器のスケッチ、精子の形態・運動性の観察 【M21】 C, D クラス:疾患モデル動物の課題レポート 【M101】 | 佐藤 俊哉 大久保 直 東 貞宏 | 実験動物学 |
9 | 7/11(金)③ | 実習:マウスの解剖、各臓器の観察とヒトとの相違、各種疾患モデル動物の検索 | C, D クラス:マウスの解剖、腹腔および胸腔臓器のスケッチ、精子の形態・運動性の観察 【M21】 A, B クラス:疾患モデル動物の課題レポート 【M101】 | 佐藤 俊哉 大久保 直 東 貞宏 | 実験動物学 |
10 | 7/11(金)④ | 実習:マウスの解剖、各臓器の観察とヒトとの相違、各種疾患モデル動物の検索 | C, D クラス:マウスの解剖、腹腔および胸腔臓器のスケッチ、精子の形態・運動性の観察 【M21】 A, B クラス:疾患モデル動物の課題レポート 【M101】 | 佐藤 俊哉 大久保 直 東 貞宏 | 実験動物学 |
予習:参考図書「現代実験動物学」の該当箇所、「ヒトの分子遺伝学」の4・5・8・11・12・16・21 章を読んでおくことを推奨する(8時間)。
復習:講義内で指摘した重要事項を復習するとともに、生物学、細胞生物学、生化学序説の内容と関連付けて理解することにより(2時間)、第1学年後期で学ぶ解剖発生学、遺伝子学の基礎を身につける。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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参考書 | 現代実験動物学 | 笠井憲雪・吉川泰弘・安居院高志 編 | 朝倉書店 |
参考書 | ヒトの分子遺伝学(第5版) | 邦訳 戸田達史・井上聡・松本直道 監修 | メディカル・サイエンス・インターナショナル |
参考書 | マウス胚の操作マニュアル(原書第3版) | 邦訳 山内一也 他/訳 | 近代出版 |
1)動物実験の意義と動物への倫理的配慮について学び、これらの実践に必要な関連法規と実施体制を説明できる。
2)分子病理学の基礎として、遺伝形式の推定から遺伝子改変マウス作成までの一連の解析法を説明できる。
3)疾患モデルの作成方法、遺伝子導入と欠損マウスの相違と作成方法を説明できる。
4)動物実験の精度と再現性に影響する遺伝要因・環境要因、生物学的要因としての微生物学的統御に関する事項を説明できる。
5)実習を通して、マウスの解剖学的特徴や発生・生殖工学の基礎的事項を説明できる。
6)特定の疾患モデルについて自己学習し、ヒトと動物の類似・相違点について科学的に考察できる。
定期試験(90%)、課題提出(8%)、実習への参加状況(2%)により評価する。
1)清潔な白衣(洗濯してあれば良い)を着用すること。また、試薬や動物の組織液等が付着することも考慮した服装で臨むこと。
2)実習では、各臓器の計測とスケッチを行なうので、筆記具と定規を持参すること。
3)動物アレルギーが疑われる場合は、事前に教員へ連絡すること。