英文名 | Metabolic Biochemistry | |
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科目概要 | 1年後期[28コマ]、3群科目、必修、講義 | |
科目責任者 | 萬代 研二 | |
担当者 | 山森 早織※, 丸尾 知彦※, 萬代 研二※, 鳥居 知宏※, 坪川 大悟※ | |
教室 | M101(新校舎1階大講義室) |
研究者としての国内外の研究機関勤務の経験や、臨床医としての国内基幹病院勤務の経験を踏まえ、臨床医学の発展に果たした生化学研究の面白さや重要性について概説する。
1. プロフェッショナリズムと倫理: | 4. 知的探究と自律的学習: ◎ | 7. 予防医学: ◯ |
2. コミュニケーション能力: | 5. チーム医療: | 8. 地域医療: |
3. 医学的知識と技術: ◎ | 6. 医療の質と安全: | 9. 国際貢献: |
私達の体は、食物から取り入れた物質を、細胞内の化学的な構成要素に作り変えることで成り立っている。また、活動するためには、食物中の分子に蓄えられたエネルギーを、生体内の化学反応に用いることができる形に作り変えることが必要である。これらの過程は代謝と呼ばれ、高度に組織化された調節を受けている。代謝に異常が生じると様々な体内環境の恒常性の障害、さらには疾患が引き起こされる。本授業科目では、糖質、脂質、アミノ酸、核酸、ビタミン類などの生体分子の動態と変化、エネルギーの代謝、ならびに細胞や全身における代謝の調節の仕組みを学ぶ。さらに、生体の恒常性維持に関わる分子の性質と代謝を理解することによって、その破綻がどのようにして代謝異常症の発症と病態の進展に関わるのかを学ぶ。
糖代謝、脂質代謝、アミノ酸代謝、核酸代謝の詳細、エネルギー代謝、代謝調節の仕組み、代謝異常症などについて講義する。課題の解答や疑問点は講義の中で検討し、フィードバックする。
スライドとプリントを用いて講義を進める。課題の解答は授業の中で検討する。
回 | 日時 | 講義テーマ | 講義内容 | 担当者 | 所属 |
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1 | 9/12(金)② | 代謝学概論 | 代謝学を理解するための基本事項 | 萬代 研二 | 生化学(萬代単位) |
2 | 9/19(金)② | 代謝学研究(その1) | 代謝学の基礎研究と疾患の治療法開発の一例 | 萬代 研二 | 生化学(萬代単位) |
3 | 9/26(金)② | 高エネルギー化合物 | 高エネルギー化合物の代謝系における役割 | 萬代 研二 | 生化学(萬代単位) |
4 | 10/3(金)② | 糖質 | 糖質の種類とそれぞれの生体内での分布と役割 | 坪川 大悟 | 生化学(萬代単位) |
5 | 10/10(金)② | 解糖 | 解糖系の反応と調節ならびに役割 | 山森 早織 | 生化学(萬代単位) |
6 | 10/14(火)② | ペントースリン酸経路 | ペントースリン酸経路の反応と調節ならびに役割 | 山森 早織 | 生化学(萬代単位) |
7 | 10/17(金)② | クエン酸サイクル | クエン酸サイクルの反応と調節ならびに役割 | 山森 早織 | 生化学(萬代単位) |
8 | 10/21(火)② | 電子伝達系 | 電子伝達系の概要 | 山森 早織 | 生化学(萬代単位) |
9 | 10/24(金)② | 酸化的リン酸化 | 電子伝達系と共役したATP 産生 | 山森 早織 | 生化学(萬代単位) |
10 | 10/28(火)② | 血糖値の維持とグリコーゲン代謝 | 血糖値の維持の重要性とグリコーゲン代謝 | 山森 早織 | 生化学(萬代単位) |
11 | 11/4(火)② | グリコーゲン代謝調節 | ホルモンなどによるグリコーゲン代謝の調節の仕組み | 山森 早織 | 生化学(萬代単位) |
12 | 11/7(金)② | 糖新生 | 糖新生の仕組みと役割ならびに糖代謝の復習 | 山森 早織 | 生化学(萬代単位) |
13 | 11/11(火)② | 糖質代謝調節の異常 | 糖質代謝調節の異常が関わる疾患 | 萬代 研二 | 生化学(萬代単位) |
14 | 11/14(金)② | 脂質 | 脂質の種類とそれぞれの生体内での分布と役割 | 鳥居 知宏 | 生化学(萬代単位) |
15 | 11/18(火)② | 脂質の機能と輸送 | 脂質の生体内での役割と血中輸送 | 鳥居 知宏 | 生化学(萬代単位) |
16 | 11/21(金)② | 脂質の分解と脂肪酸酸化 | コレステロール以外の脂質の分解経路 | 山森 早織 | 生化学(萬代単位) |
17 | 11/25(火)② | 脂肪酸合成 | コレステロール以外の脂質の生合成経路 | 山森 早織 | 生化学(萬代単位) |
18 | 11/26(水)① | コレステロール | コレステロールの生合成と代謝経路 | 山森 早織 | 生化学(萬代単位) |
19 | 11/28(金)② | 脂質代謝異常 | 脂質代謝の異常が関わる疾患 | 山森 早織 | 生化学(萬代単位) |
20 | 12/2(火)② | 代謝の統合(その1) | 種々の生理状態における代謝とがん細胞における代謝 | 山森 早織 | 生化学(萬代単位) |
21 | 12/3(水)① | 代謝学研究(その2) | 代謝学の学術論文の紹介 | 鳥居 知宏 | 生化学(萬代単位) |
22 | 12/5(金)② | 窒素代謝概観 | 窒素代謝の概説 | 丸尾 知彦 | 生化学(萬代単位) |
23 | 12/9(火)② | アンモニアと尿素回路 | アンモニアの代謝と尿素回路 | 丸尾 知彦 | 生化学(萬代単位) |
24 | 12/10(水)① | ヘム代謝 | アミノ酸から生合成される生体物質の性質と代謝 | 丸尾 知彦 | 生化学(萬代単位) |
25 | 12/12(金)② | ヌクレオチド代謝 | ヌクレオチドの合成と分解 | 丸尾 知彦 | 生化学(萬代単位) |
26 | 12/16(火)② | 窒素代謝異常と疾患ならびに演習 | 窒素含有分子の代謝異常が関わる疾患と窒素代謝の復習(演習を含む) | 丸尾 知彦 | 生化学(萬代単位) |
27 | 12/17(水)① | 代謝の統合(その2) | 脳における代謝と臓器間の代謝連関 | 萬代 研二 | 生化学(萬代単位) |
28 | 12/19(金)② | 代謝学研究(その3) | 代謝学の学術論文の紹介 | 萬代 研二 | 生化学(萬代単位) |
【授業時間外に必要な学習の時間: 毎回、予習・復習に合計1時間以上】
前期の「生化学序説」「細胞生物学」の知識を再確認しておくことが望ましい。
予習:教科書や参考書を読み、概要をつかむ。
復習:プリントを見返し、教科書や参考図書を参考にして反復学習する。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 |
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教科書 | 講義で配布する資料 | ||
教科書 | エッセンシャル生化学(第3版) | 須藤、山本、堅田、渡辺 訳 | 東京化学同人 |
参考書 | イラストレイテッド ハーパー・生化学(原書32版) | 清水孝雄、水島 昇 監訳 | 丸善出版 |
参考書 | レーニンジャーの新生化学 -生化学と分子生物学の基本原理-[第7版]〔上・下〕 | 川嵜敏祐 監修 | 廣川書店 |
参考書 | ストライヤー生化学(第8版) | 仲野 徹 監訳 | 東京化学同人 |
KEGG Pathway Database:http;//www.genome.jp/kegg/pathway.html
① 生体物質とエネルギーの代謝における基本原理を説明できる。
② 代謝異常による病態の基本原理を説明できる。
③ ホルモンによる全身性調節とアロステリック効果による細胞レベルの調節を説明できる。
④ 解糖、クエン酸サイクル、ペントースリン酸経路の反応と調節及びその異常による疾病を説明できる。
⑤ 高エネルギー化合物の産生反応を説明できる。
⑥ 血糖値維持の意義と方法、その異常による疾病を説明できる。
⑦ グリコーゲン代謝と糖新生の反応と調節及びその異常による疾病を説明できる。
⑧ 脂質の種類と機能を説明できる。
⑨ 脂質の合成、輸送と分解の反応及びその異常による疾病を説明できる。
⑩ アミノ酸の異化、尿素回路の反応と調節及びその異常による疾病を説明できる。
⑪ ヌクレオチド代謝の反応と調節及びその異常による疾病を説明できる。
⑫ ヘムの合成と分解の代謝及びその異常による疾病を説明できる。
⑬ 糖尿病、高脂血症、高尿酸血症の疾病予防法を理解するために必要な代謝経路を説明できる。
定期試験(100%)
他科目との関連:
本科目の学習内容は、前期に学習する「生化学序説」「細胞生物学」と後期に学習する「タンパク質化学」の学習内容と密接に関連している。これらの学習内容をしっかり復習しておくこと。また、2年で学習する「医化学・栄養学」の学習内容とも密接な関連がある。これらの科目は別の科目と考えずに、関連性に留意し、統合的に理解するように心がける。
推奨する勉強方法:
毎回プリントを配布する。プリントを見て授業内容を確認し、教科書や参考図書を参考にして自学することが求められる。重要事項を自分で抽出し、自分の言葉でわかりやすく説明できるようになるまで反復学習することが望まれる。この作業はできるだけ授業を受けた日に行うとよい。試験直前に初めてこの作業を行うのは非効率的である。代謝学では極めて多くの分子や化学反応が扱われる。丸暗記に頼るのではなく、法則を理解してから各論を覚えるのが早道である。